調査研究事業の概要

平成8年度
 当研究所も7年目を迎え、研究所として本来の調査研究である「自主研究」を中心に運営することを重点に取り組んだが、逆に研究所の調査研究の実績が次第に定着したため、市町村、農協からの要望が強く、地域農業振興計画など「共同研究」が6件、関係機関・団体からの「受託研究」9件、「診断事業」2件、「提案企画研究」1件に自主研究の3件を加えると合計21件にのぼり、研究所研究員のオーバーワークになると共に、大学・試験場など「協力研究員」に延べ70名の参加・ご支援を頂くこととなった。
 まず、「自主研究」では、「農地問題」、「農村の高齢化問題」、「農業情報問題」に取り組んだ。まず農地問題は、平成5年度からの継続研究として「北海道の農地問題」をテーマに、平成5〜6年度にかけて稲作、畑作、酪農の地帯ごとに実態調査、定例研究会、ワーキンググループの検討会を行い、平成7〜8年度では補足的調査と課題整理を行い、報告書をまとめる予定であったが、平成9年度早期に完成する予定である。また、農村の高齢化問題については、基礎的な調査と稲作地帯でのモデル町村として栗山町を選定し、地域の実態と課題を探りつつ、4回の研究会を開催して地域における福祉の在り方を検討するなど、次年度に継続し、農村の高齢化問題を明らかにする。農業情報問題では、最近の5年間に農業分野においても情報伝達が急速に進んでいる。当研究所としては、「地域農業技術センター連絡協議会」組織の傘下のもとで「農業情報部会」を設置し、当研究所において事務局を担うべく考えているが、内部的な蓄積に止まったため具体的な展開ができなかった。
 次に「共同研究」は、平成6年度からの継続として、「今金町農業振興計画策定に係わる基礎調査」、「八雲農業振興プロジェクトに係わる地域農業実態調査」、「更別村農業振興計画策定のための基礎調査」、「石狩市農業振興計画策定のための基礎調査」に取り組むと共に、新規には「白老町農業生産総合振興計画策定のための基礎調査」、「紋別市農業活性化ビジョン策定に関する基礎調査」の計6件に取り組んだ。
 「受託研究」では、道をはじめ、北海道開発局、JA北海道中央会、ホクレン、北海道農業開発公社等から9件におよぶ多様なテーマの調査研究に着手し、それぞれ報告を完了した。なかでも「長時間停電による酪農への影響防止システムの確立に関する調査」は、平成6年10月4日発生の北海道東方沖地震が根室管内に甚大な被害をもたらし、畜産経営に大きな被害を及ぼしたため、実態調査などに基づき、自家発電機の導入により影響を最小限とする地域対応システムモデルを提言した。「水田農業地域における動態的生産構造分析」は、新食糧法施行のなかで、激変する米の生産・流通、とりわけ、生産現場の現状の課題、将来の方向性を探った。また、「オホーツク北網地方拠点都市地域関連農村整備推進調査」は、北見市、網走市、女満別町、美幌町、端野町の2市3町が一体となって、都市機能を向上させることにより、オホーツク圈全体の活性化を図ることを目指し、都市と農業・農村の一体的発展がなされるよう農業生産基盤の整備計画の方向性を提言した。また、3ヵ年継続の「21世紀の新技術導入調査」については、最終年として、地域エネルギーの施設ハウス、揚水施設、畜産糞尿処理、融雪などへの利活用の可能性をまとめ、総合的な報告書を完成した。このように注目される幾つかの課題に取り組んだ。
 「診断事業」では、「上川生産農業協同組合連合会の経営診断業務」、「美瑛町農業振興センター基本構想策定業務」に取り組んだ。
 その他の研究としては、前年度の奨励研究「農協系統における営農技術体制の強化に関する研究」について、補足的な調査を実施し、一年遅れで報告書を完成した。また、提案企画研究では「野菜規格の簡素化と出荷・流通費用の低減効果」に取り組んだ。
 調査研究事業のほか、機関誌(会報)については4回発行した。また、講演会・シンポジウムについては、総会時の特別講演において「いま、地域農政に求められるもの」をテーマに、当研究所七戸所長の講演を行った。
 当研究所主催の研修会では「農村の高齢化と担い手問題」をテーマに、農林水産省東北農業試験場経営管理研究室長の佐藤了氏、宮城県登米郡米山町産業課長の千葉孝喜氏を招き、東北地域の現状と先進的な取り組みの一端を聴くことができた。関心の高い問題だけに出席者が予想外に多くなり、活発な意見交換が行われた。なお、この結果については、「地域と農業」特集記事(25号=平成9年春号)として掲載することとした。
 また、研究所役職員による自主的なテーマ研究の発表の場として、「月例研究会」を設けるなど研鑽の他、各地で開催された研修会・講演会などへの講師の派遣、学会・研究会での研究所員の報告など当初計画以上の事業を完了することができた。