調査研究事業の概要

平成9年度
 当研究所も8年目を迎え、研究所として本来の調査研究である「自主研究」を重点に2件について取り組み、市町村、農協からの要望に基づく、地域農業振興計画などの「共同研究」が2件、関係機関・団体からの「受託研究」11件、「提案企画研究」1件で、合計16件にのぼり、当研究所員と共に、大学・試験場などの「協力研究員」約90名の参加協力をいただくこととなった。
 第一に「自主研究」については、「農地問題」、「農村の高齢化問題」について取り組んだ。農地問題は、平成5年度からの継続研究として「北海道の農地問題」をテーマに、平成5〜6年度にかけて稲作、畑作、酪農の地帯別に実態調査、定例研究会、ワーキンググループの検討を行い、平成7〜9年度は、情勢の変化にともなう補足調査と課題整理を実施し、報告書を取りまとめた。また、「農村の高齢化問題」は、基礎調査と農村福祉のモデル町村として空知管内栗山町を選定し、地域の実態調査と課題を整理し、中間報告書を取りまとめた。更に、高齢農家を対象にアンケート調査および農家調査を実施するほか、リタイアした高齢農家の状況も調査した。第3回の研究会では「JAにおける福祉の取り組み」について研究したが、次年度も継続して取り組みを進める。
 第二に「共同研究」については、平成8年度から継続した地域農業振興計画策定の基礎調査を「白老町農業生産総合振興計画策定のための基礎調査」、「紋別市農業環境活性化ビジョン策定に関する基礎調査」の2件について取り組み、機関調査、アンケート調査、農家調査、中間報告等の意見を踏まえて地域の実情に適った地域農業振興計画の策定を提言した。
 第三に「受託研究」については、北海道開発局、北海道、北海道農業開発公社、JA北海道中央会、ホクレンなどから11件に及ぶ多様なテーマの調査研究に着手し、それぞれ報告を完了した。その主なものにふれると「農業・農村の多面的機能の評価調査」は、北海道の農業・農村の持つ多面的機能を評価調査し、内部経済効果である「農産物生産機能」1兆1,112億円、「関連産業誘発機能」9,251億円、外部経済効果である公益的機能(国土保全、アメニティ、教育・文化機能)1兆2,581億円の合計3兆2,944億円の評価を行い報告した。「コントラクター事業に係わる調査業務」は、コントラクラー事業の受託対象農作業に関して、公平な標準請負料金設定の基礎を得ることを目的に、酪農、畑作、稲作の各農業経一営部門別に、サービス需要サイドの利用料金負担限界、サービス供給サイド(コントラクター)の運営実態、比較対象農家(自己完結型・共同組織利用型)の費用負担実態について調査・分析を行った。
「北海道農業・農村基本問題研究調査」は、新農業基本法は我が国の「食料・農業・農村政策」の根幹をなすものであり、その制定は北海道農業にとっても極めて重要な意味を持つことから、北海道の農業・農村の今後の維持発展を図る上で必要な諸課題について提言した。「北見地区畑地潅漑事業の農家経済効果検証調査」は、北見地区は年間降水量も少なく、反面、日照時間が多いため、旱魃による被害が発生しやすく、地元の要請で畑地潅漑事業を実施したが、農業経営面における農家の経済効果を検証・調査し報告した。
 第四に「提案企画研究」については、北海道立中央農業試験場と共同で取り組んだ「野菜規格の簡素化と出荷・流通費用の低減効果調査」は、労働力不足に悩む産地と人件費の節減を図りたい流通・小売り関係者からも期待され、産地の出荷調製労働および流通過程における費用の軽減度合いを明かにし、出荷規格簡素化への産地対策のあり方を提言した。
 第五に「会報の発行」については、農業の置かれている問題を直視し、時の話題として、機関誌「地域と農業」を年間4回発行した。また、講演会・シンポジウムについては、総会時の特別講演において「北海道農業・農村振興条例への期待」をテーマに、北海道大学農学部教授太田原高昭氏を招き講演をいただいた。
 第六に「研修会・研究会・講演会」については、当研究所主催の研修会では「農地の流動化と担い手育成」をテーマに、北海道東海大学国際文化学部教授谷本一志氏、財団法人広島県農業開発公社東部事務所担当課長の居升邦彦氏を招き、北海道の農地問題の現状および広島県の農用地の効率利用と担い手対策・育成について具体的な取り組みの考え方と事例報告のあと、多くの出席者から地域が抱えている問題だけに、活発な意見交換が行われた。なお、この結果については、「地域と農業」特集記事(No29号=平成10年春号)として掲載した。
 また、研究所役職員による自主的なテーマ研究の発表の場として「月例研究会」を開催し、自己研鎮を図るほか、各地で開催された研修会・講演会などへの講師の派遣、学会・研究会での研究所員の報告など当初計画を上回る事業を実施することができた。