調査研究事業の概要

平成12年度
 当研究所は今年創立11年目を迎え、研究所として本来の調査研究である「自主研究」を重点に2件について取り組み、市町村、農協からの要望に基づく、地域農業振興計画などの「共同研究」が3件、関係機関・団体からの「受託研究」13件、「診断事業」1件、「提案企画研究」3件で合計22件にのぼり、所内の専任及び特別研究員と共に、大学・試験場などの「協力研究員」約80名の参加協力をいただくことになった。
 第一に「自主研究」については、「地域活性化研究」、「農協問題研究」について取り組んだ。「地域活性化研究」については、地域活性化の研究活動が地域農業や個別経営に対してどのような意味を持つかを明らかにするため、昨年に引き続き別海町のマイペース酪農研究会及び美瑛町の北瑛バーク堆肥生産組合など地域で生産活動をしているグループを調査しその内容を報告した。「農協問題研究」については農協運営の厳しさを反映して、広域合併など現実的な対応を余儀なくされているが、当研究所では、稲作、畑作、酪農の地帯別に優良農協を中心に全道29ヵ所及び道外4ヵ所を選定し、事業の収益性と経営構造及び部門別分析を実施し、農協の経営実態を調査するとともに、農協の抱える問題を捉えたが、調査結果を報告書として会員に配布する。
 第二に「共同研究」については、平成11年度から継続して地域農業振興計画策定に取り組みした「千歳市新農業振興計画基本構想・基本計画」と前期5ヶ年の「実行計画」について農家調査や機関調査等を行い計画書等を提出した。また、平成12年度から新規に地域農業振興計画の策定に関する指導業務に取り組んだ「JAかわにし」については、地域農業振興計画の基本的考え方の指導助言、アンケート調査の集計分析及び地域農業振興計画書の編纂等の業務指導を実施した。「JAめむろ」については、初年度は、第4次計画の総括に関する指導助言、機関調査を実施するとともにアンケート調査の集計分析を中心に中間報告を実施したが、次年度も継続して取り組んでいく。
 第三に「受託研究」については、北海道開発局、北海道、北海道農業開発公社、日本草地畜産種子協会、ホクレン農業協同組合連合会、北海道てん菜協会などから13件に及ぶ多様な調査研究の依頼を受けて着手し、それぞれ中間報告を含め報告した。その主なものは「十勝地域農業経営検討業務」は、十勝管内の経営現況調査及び農業経営分析から経営係数や労働係数を捉え、これらの実態からモデルを設定しシュミレーションを行うとともに、将来における効率的な営農類型を検討し報告した。「平成12年度農業経営管理高度化支援事業」については、300戸の概要調査、経営形態別経営概況及び各種経営分析を実施するほか、時系列における経営概況の比較や要因分析を実施し報告した。「コントラクタ事業に係る活動実態調査業務」については、委託者、受託者とも農作業に深く関わることから、双方ともに事業採算が取れずに苦慮している実態にあることが昨年の調査で判明した。今年は天北地帯で現在活動している事業者の実態を調査し、その内容を分析して、総合的なコントラクタ事業の現状と問題点を把握するとともに、今後の対応策を検討し報告した。「新世紀対応酪農基本構想等検討業務」については、長期的展望に立った地域酪農の発展のため、居住環境及び畜舎周辺環境の整備、離農跡地の活用促進等に配慮しつつ、法人化・協業化等を通じた合理的かつ体系的な草地・畜産関連施設の配置及び運営方法についての調査並びに基本構想を策定する。今年は基本構想策定のフレームの体系的整理及びスケルトンの作成など基本構想を概定し中間報告を実施したが、次年度も継続して取り組む。「農業生産法人の現状と今後の動向に関する調査」については、特に耕作放棄地や不作付地が増加する傾向にあるが、この管理、保全に必要な担い手及び労働力確保を含め農業生産法人の果たすべく役割は極めて重要である。このような状況の中で、今後農業生産法人を踏まえた農協事業の対応のあり方についても検討するが、今年は農業生産法人の実態を調査し中間報告を実施したが、次年度も継続して取り組む。
 第四に「診断事業」については、「八雲町指定地農業適否診断業務」では、以前に農地を開発造成し、メロンの水耕栽培試験を実施した農地の再利用について、土壌診断、温泉熱を利用した野菜、花のハウス栽培の適否診断を踏まえ農業用地としての総合判断を実施し報告した。
 第五に「提案企画研究」については、北海道立中央農業試験場と共同で取り組んだ「てん菜を基幹とした大規模畑作経営等確立諸条件に関する調査」及び「北海道におけるてん菜直播栽培の可能性に対する調査」については、昨年に引き続き農家経営実態調査を行い中間報告を実施したが、次年度も継続して取り組む。
 第六に「会報の発行」については、農業の置かれている問題を重視し、時の話題として、機関誌「地域と農業」を年間4回発行した。また、講演会・シンポジウムについては、総会時の特別講演において「北海道の農地問題」をテーマに、北海道東海大学国際文化学部教授谷本一志氏を招き講演をいただいた。
 第七に「研修会・研究会・講演会」については、当研究所主催の研修会では平成10年度より稲作、畑作、酪農の3部門に分けて実施し、今年は基調講演として「わが国の食料自給率の異常低下の基本要因」と題して、当研究所長七戸長生が講演、課題講演として稲作部門は北海道立中央農業試験場の経営科長西村直樹氏から「米価下落と稲作経営問題について」を、また、畑作部門については、北海道大学大学院農学研究科助教授志賀永一氏から「畑作経営の展開方向と課題」を、更に、酪農部門については、酪農学園大学酪農学部教授市川治氏から「酪農経営の展開方向と今後の課題」と題して講演を願ったあと、多くの参加者から地域が抱えている問題だけに、活発な意見交換が行われた。なお、この結果については、「地域と農業」特集記事(No40号=平成13年冬号)として一部を掲載した。また、研究所役職員による自主的なテーマ研究の発表の場として「月例研究会」を開催し、自己研鑽を図るほか、各地で開催された研修会・講演会などへの講師の派遣、学会・研究会での研究所員の報告など当初計画を上回る事業を実施することができた。