調査研究事業の概要

平成18年度
   当研究所は、大学・試験場などの「協力研究員」約100名の協力・支援をいただきながら、積極的に調査研究事業に取り組み、今年は17年目を迎えております。自ら課題を設定し調査研究する「自主研究」1件、農業振興計画策定に関わる農協等との「共同研究」2件、関係機関・団体からの「受託研究」16件、さらに「診断事業」1件となっており、これらの概要は次の通りです。  
     
  1.「自主研究」
 従来から取り組んできました「地域マネジメント体制」についてはシステムの類型化とその特徴付けを行い営農戦略形成上の有効性を提起する一方で、「経営安定対策を中心とした政策転換の影響」については政策施行前からその懸念される影響や課題を提起するなど、その研究成果は共同研究や委託研究に反映することとなり、先駆的な役割を果たす研究となっておりました。
 今年度は、これら自主研究の統合・進展を図り、品目横断的所得政策の施行に伴う農業・農村の動向を注視する傍ら実践的な取り組みを行いました。空知など水田地帯にかかる共同研究や委託研究が今年度は多く、それら研究との連携を密に農業経営実態の現地調査などを積極的に行って、研究相互の相乗効果をあげる取り組みを行いました。   
 
     
  2.「共同研究」
 空知管内組合長会からの委託をうけ、管内関係者が一丸となって取り組む「空知の農業経営と農協運営を考える会」へ参画して、将来を見据えて取り組むべき課題について整理をおこないました。関係機関に対する調査とともに約300戸の農家調査を実施して、農業・農協の現状について整理・分析をすすめ、報告しました。調査・分析にあたっては、北海道農業研究会の20数名におよぶ研究者の献身的な協力をいただきました。
 JAめむろの「第6次農業振興計画策定に関する支援」にあたって、2ヵ年にわたる支援業務の委託を受け、今年度は、計画策定の方法やアンケート実施に関する助言ならびに情報提供を行いました。
 
     
  3.「受託事業」
 北海道、北海道農業開発公杜、JA北海道中央会、ホクレン農業協同組合連合会、北海道てん菜協会などから16件の調査研究の依頼を受けて着手し、それぞれ報告いたしました。
 主なものをあげると、「北海道農業・農村・農協が直面する重要課題の調査検討ならびに提言」では、組合員二一ズに的確にこたえられる農協の組織・事業運営のあり方を探るため、@「農協事業活動における大規模農業生産法人との連携体制の構築」およびA「農協営農支援事業の広域的展開に伴う課題の摘出と改善方策」について取りまとめしました。前年からすすめていた調査研究に、今年度の補足調査による検討を加え報告しました。
 「水田地帯における転作作物導入による農業所得向上対策調査業務」では、主要な水田地帯における転作作物の導入による所得確保の取り組み事例について、昨年度から中堅的な稲作農家の事例収集をすすめており、今年度はこれらを中心に収益構造を分析し、補足調査による実態を加えて、水田農家の所得向上対策のあり方について報告しました。
 「てん菜多畦ハーベスタの導入モデルの調査事業」は、高能率な自走式4畦用収穫機を核とする共同収穫作業体系について、そのシステムが成立するうえで整備すべき要件を明らかにすることを業務内容とする2ヵ年の事業です。今年度は、十勝・幕別町(自走式4畦の実証試験事業を実施中) 、網走・網走市(自走式2畦導入・利用)、網走・清里町(牽引式1畦が主体)の3ヶ所を選定し、収穫機稼働状況を実地検分のうえ、関係機関や営農集団組織・コントラクターなどの調査により、収穫作業体系をはじめとする現地の農業事情の基礎的調査をすすめました。さらに、代表的農家を選定のうえ、経営状況・てん菜栽培の意向を聴取し、その結果を報告しました。
 「独占禁止法の適用除外と農協の対応にかかる研究」では、農協事業の運営において独占禁止法との関係を整理し理解を深めておくことは、諸般の情勢から緊要な課題であるとの認識に立ち、農協問題の研究者に加えて法学の研究者や弁護士さらに連合会実務者の参画を求め、数度の研究会を開催し、その中での整理・解析を中心に報告書を作成しました。
 「飲用乳の食味並びに品質の比較試験業務」では、北海道牛乳の消費拡大にむけて消費者が求める牛乳の要件を明らかにする上で、酪農生産、食品加工、食品栄養など学際を超えた酪農関係の研究者に参画を要請し、相互の意見交換を行ないました。さらに、関東圏で市販される7種類の牛乳について延べ約100名による試飲テストを札幌で行い、明年予定される食味ブラインドテストの実施方法・データ収集方法などを確立するための予備的調査・研究をすすめ、その内容を整理し報告しました。
 「農地保有合理化事業に関する調査」では、本道の主要な水田地帯、畑作地帯、酪農地帯における実態調査を通じて、農地保有合理化事業が果たしてきた役割を整理するとともに、農地保有合理化法人の今後の課題について検証し、提言いたしました。
 
     
  4.「診断事業」
 北海道農業協同組合学校が、教育研修内容の充実を図るため発足させた「農業・農協問題懇話会」の運営に係って、助言ならびに支援を行ないました。   
 
     
  5.「会報の発行、研修会・研究会・講演会」
 機関紙「地域と農業」は4回発行し、ミニ特集で「牛乳・乳製品は優れた食品」なども掲載しました。
総会時の特別講演においては、愛媛大学農学部の村田武教授より「新たな基本計画と北海道農業−WTO最新情勢を踏まえて」をテーマに講演をいただき、当研究所主催の農業総合研修会では、「農業・農協をめぐる最近の情勢と独占禁止法適用問題」と題して東京農工大学の梶井功名誉教授に講演をいただきました。それぞれ多くの参加者があり、活発な意見交換がなされました。
 さらに、各地で開催された研修会・講演会などへの講師の派遣、学会・研究会での研究員の報告など、当初の計画を上回る事業を実施することができました。  
 
     


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