調査研究事業の概要

平成19年度
   当研究所は本年18年目を迎えております。調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力をいただきながら、自ら課題を設定し調査研究する「自主研究」として2件、農協などからの要望に基づく地域農業振興計画策定支援などの「共同研究」が2件、関係機関・団体からの「受託研究」が11件、さらにコンサル業務的な「診断事業」が3件など、合計18件の事業に取り組みました。これら事業の概要は次のとおりです。  
     
  1.「自主研究」
 自主研究としては、次の2課題に取り組みました。
 一つは基本課題を「北海道農業の課題とその発展方向」とし、北海道農業が直面している緊急課題に関するテーマを設定し、そのテーマに精通している研究者又は実務者を報告者(話題提供者)として招聘し、関係機関並びに関係団体から参加者を募り討論会を行うという設定で4回の研究会を開催しました。各テーマは、「農地制度改革と担い手育成の方向について」、「農地の組織事業運営のあり方」、「日本農業の構造再編と法人経営の到達点」、「有機農業推進法の制定と有機農業推進にかかわる諸問題」などです。
 二つ目は、「農業構造の変動と地域・地域農業の維持・発展の検討」をテーマとし今後3カ年を目処に調査研究を継続、平成22年春までには総括し研究叢書の発行を目指すものです。平成17年に「経営所得安定対策」の担い手要件が明らかにされましたが、水田地帯や「限界地」を含む中山間地域においては、この要件を満たす経営が必ずしも多いとはいえない中で、地域農業の再構築をはかり、近年の農業危機を乗り越えようと作業受託組織、農地保有合理化法人、農業生産法人といった様々なシステムを構築し、地域農業ひいては地域維持に努力している地域も見受けられます。
 そこで、本研究はこうした取り組みに着手している地域の動向に着目し、その意義と課題について整理することにより、「後退局面」にあり、かつ「限界地」を含んでいる北海道の地域及び地域農業の維持・発展方向について考察しています。  
 
     
  2.「共同研究」
 農業振興計画策定支援業務としては、前年度から2カ年にわたる「JAめむろ第6次農業振興計画」と「第4期更別村農業振興計画」の2件に取り組みました。
 
     
  3.「受託研究」
 北海道、北海道農業開発公社、JA北海道中央会、ホクレン農業協同組合連合会、北海道信連、北海道てん菜協会、JAながぬまなどから13件の調査研究の依頼を受けて取り組みました。
 主な研究課題をあげますと、「北海道農業・農村・農協が直面する重要課題の調査検討ならびに提言」では、3ヵ年事業として平成17年度から取り組みがスタートし、近年の急激な農業・農村の変化に対応して、地域振興を基本とした農協組織の事業運営のあり方を再構築する上での課題の掘り下げと検討を目的として、これまで「WTO新貿易ルールにおける北海道農業・他産業への影響分析」(平成17年度)、「農協事業活動における大規模農業生産法人との連携体制の構築」(平成18年度)、「農協営農指導事業の広域的展開に伴う課題の摘出と改善方策」(平成18年度)の3つの課題に取り組み提言してきました。
 最終年の本年度(平成19年度)は、メイン課題の「担い手育成に関する新たな教育組織と法人による従業員研修に関する調査研究」とともに、2つの追加テーマ(「流通多チャンネル化に対応した産地・生産者部会の動向に関する調査」と「バイオマスエネルギーの利用の方向と北海道農業への影響」)に取り組みました。
 「てん菜多畦式ハーベスタの導入モデル調査事業」は、高能率的な「自走式4畦用ハーベスタ」等を核とする共同収穫作業体系の成立のために整備すべき要件を地域実態に即して解析し提言することを目的としたものであり、平成18年度・19年度の2ヵ年にわたり、十勝1ヵ所(幕別町)、網走2ヵ所(網走市、清里町)を調査地区として「自走式4畦用ハーベスタ」の実証的運用試験を行うとともに、関係機関および代表農家を対象とした補足調査(てん菜栽培・収穫作業体系の確認、農作業日誌等データ収集)を実施し、当ハーベスタの導入にあたっての成立要件・課題等を整理し最終報告いたしました。  「稲作最適規模の試算と稲作生産コスト低減の方向に関する調査・研究」は、水田地帯の地域農業を維持・向上させ、将来展望を見通す上から、規模拡大を中心とする稲作生産コスト低減の可能性について考察し、さらに生産コストが最小となる経営規模の試算を行うことを目的として今年度(平成19年度)から平成20年度の2ヵ年にわたって取りみます。今年度は、既往のデータを精査することによるこれまでの推移・動向を整理するとともに北竜町を中心に米産地における米生産費低減への取り組み事例の調査を行い中間報告を行いました。次年度(平成20年度)は、生産コスト格差の要因とそのコスト低減の可能性の検討、シミレーション分析などにより専業農家下限規模と耕作限界規模について解析いたします。
 「飲用乳の食味並びに品質の比較試験業務」では、消費者の嗜好を客観的に明らかにすることを狙いとして、北海道産牛乳と府県産牛乳の食味並びに品質について、消費者(パネラー)の地域差の有無の検証とアンケート調査を東京と札幌の2カ所において実施しその結果をまとめ報告いたしました。
 「品目横断対策と農地保有合理化事業に関する調査」は、農地保有合理化事業の役割と今後に求められる事業のあり方等を探る指針とするため、平成19年度に始動した品目横断対策が地域にどのような影響を与え、それに対応するために地域は如何なる新たな取り組みを構築しているのかなどを調査し、その検証結果を整理し報告いたしました。
 
     
  4.「診断事業」
 診断事業としては次の3件に取り組みました。
 北海道農業協同組合学校が運営する「農業・農協問題懇話会」への支援では、当懇話会運営に関するコンサルテーションを主とし、要請に応じて研究者の斡旋や研修会への講師派遣などを行いました。
 「空知管内の農業振興と健全なJA運営の展開に向けた取組に係る情報提供並びに助言・指導業務」では、平成18年に実施した「空知農業の現状とその課題」に関する調査研究の成果を基軸として、空知管内JAグループが取り組む振興方策の策定・実践に対する助言、各種研修会・研究会へのJA担当者の参加呼びかけ、要請に応じた研究者の斡旋や講師の派遣などを行いました。
 「バイオマス発見活用促進事業支援」では、北海道バイオマス発見活用協議会が農業者への的確な理解を広げる取り組みの一環として進めた啓蒙パンフレット「北海道農業とバイオ燃料」の作成、配布作業に協力しました   
 
     
  5.「会報の発行、研修会・研究会・講演会の開催」
 機関誌「地域と農業」は4回発行し、ミニ特集として「日韓農業のシンポジュウム・富良野フォーラムの記録」、特集として本研究所の自主研究の一つとして進めている「北海道農業の課題とその発展方向」に係る研究会報告(第1回、第2回)などを掲載しました。総会時の特別講演では、コープさっぽろの大滝悦子理事により「北海道農業への消費者からの期待」をテーマにご講演をいただき、また、当研究所主催の農業総合研修会では、日銀札幌支店長上野正彦氏により「現下の経済環境から見たあるべき北海道農業の姿」と題してご講演をいただくなど、それぞれに多くの参加者がありました。
 さらに、各地で開催された研修会・講演会などへの講師の派遣、学会・研究会での研究員の報告など、当初計画を上回る多くの事業を実施いたしました。 
 
     


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