調査研究事業の概要

平成23年度
 
 本研究所は、地域農業の振興を支援するなど北海道の基幹産業である農業の安定確立等を図るための実践的な研究機関として、産・学・官が結集して平成2年12月に設立されて以来、本年22年目を迎えております。
 調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力を得ながら、テーマごとに専門研究班を編成し研究活動を行っております。
 研究区分としては4区分あり、平成23年度の調査研究事業も、例年同様「協力研究員」の参加協力を得ながら、自ら課題を設定し進めている「自主研究」が2件、農協などからの要望に基づく地域農業振興計画策定協力・支援などの「共同研究」が2件、また、関係機関・団体から課題を委託された「受託研究」が9件、さらに、助言・アドバイス・講師派遣などコンサル業務的な「診断事業」が1件など、合計14件の事業に取り組んで参りました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 次の2件に取り組みました。
(1)「農業構造の変動と地域・地域農業の維持・発展の検討」
 当課題は、平成23年12月に研究成果を研究叢書として発行しました。
 北海道農業は、近年の農家数の減少と過疎化の進展、農地面積の減少など、厳しい局面に直面している中にあって、様々な支援システムを構築し地域農業・地域社会の維持に努めこれらの危機を乗り越えようとする市町村もみられます。この研究ではそれらに着目し、その意義と課題について整理し、地域農業の維持・発展の方向について考察しています。
(2)「北海道農業の軌跡にみる発展へのベクトル研究」
 北海道の農業史については、1960年までは「北海道農業発達史」(1963年、北海道立総合経済研究所編)で整理されていますが、ここでは本年9月の発刊を目処に、それ以降の北海道農業史の編纂・執筆に取り組んでおります。
 
     
 
2.「共同研究」
 次の2件に取り組みました。
(1)「JA中札内村新農業振興計画策定支援業務」
 中札内村農協の第13次中期5ヵ年計画(平成24年〜28年)の策定にあたり、当該農協プロジェクトチームに参画して鋭意取り組みました。
(2)「厚沢部町農業発展計画書(農に生きる6)策定業務」
 厚沢部町農業発展計画書「農に生きる6」の策定を、平成23年1月〜平成24年3月までの2ヵ年事業として現地の検討委員会(構成メンバー:町農林課、農業委員会、活性化センター・農業振興公社、農協基幹支店、農業改良普及センター、道振興局)との共同研究として取り組みました。
 
     
 
3.「受託研究」
 次の9件に取り組みました。
(1)「活力ある新たな北海道農業を創造するためのチャレンジ」
 これは北農5連の委託研究です。これまで3ヵ年を1期として、北農5連の事務局とテーマを決定し進めてきており、本年度は4期目の初年度にあたります。今後は見出しを基本課題として、平成23年度から平成25年度までの3ヵ年に亘り5つの小課題を設定し鋭意取り組むこととしています。
 なお、本年度の研究課題としては、次の2課題に取り組んでいるところです。
<研究課題>
1. 「独占禁止法適用除外問題と系統販売・購買事業の歴史的経過と今日的な役割について」  (実施年度:平成23〜24年度)
2. 「センサスデータに基づく北海道農業の将来予測とその対応方向について」 (実施年度:平成23年〜25年度) 
(2)「北海道産農畜産物の新たな需要創出(輸出拡大)に関する調査研究」
 これは社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 政府は、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」において、農林水産物・食品輸出を2017年までに倍増させ1兆円を達成するとしました。すなわち、農産物輸出事業もごく限られた一部の産地による余剰農産物の捌け口的な輸出の域を超えて日本農業全体が取り組むべき課題として位置づけました。しかし、農業分野では、輸出事業への取り組みの歴史がまだ浅いことから、ノウハウやスキルが乏しいのが実態です。そこで、本調査研究では、平成21年度から平成23年度の3ヵ年、調査研究対象国・地域を 台湾、香港、シンガポール、タイとし、既往の関係資料・データの収集整理と現地(但し、タイを除く)輸入業者への聴き取り調査による流通実態の把握等を行ってきました。
(3)「北海道産雑豆に係る生産動向調査に関する業務」
 これは社団法人北海道豆類価格安定基金協会の委託課題です。
 平成23年から実施された農業者戸別所得補償制度の対象外の畑作物は、輪作体系を維持し、自給率の向上を実現する上で重要な役割を果たしているにもかかわらず、その対象とはなっていません。小豆、いんげん、そらまめ、えんどうに代表される雑豆はその典型と言えます。一方で、安価な加工品(加糖餡など)の輸入外圧も年々高まりをみせるなど、本道における雑豆の生産状況は決して安定しているとは言えません。本研究はこうした環境の変化に直面している雑豆生産の今後の生産振興のあり方について検討することを目的としました。
(4)「平成23年度革新的技術導入経営体支援事業委託業務(300戸調査)」
 本業務は、道が平成10年度に「農業経営管理高度化支援事業(定点観測)」としてスタートした事業です。農業改良普及センターが進める農業経営改善指導のための資料作成、および農業情勢の変化に対応した施策検討のための基礎資料の作成を目的として、道が選定、収集した道内農家約300戸の経営データを使って、経営形態別に、経営概況および各種経営指標の経年変化の動向分析を継続的に行っています。
(5)「農業をとりまく環境変化における農業金融の動向調査・研究等」
 これはJA北海道信連の委託課題です。
 近年、農業の担い手の多様化が進み、その中で台風の目とされているのが、北海道でも2000年以降に顕著に増大している農業生産法人です。こうした中で、注目されるのが法人化を絡めた農業金融再編の動きです。そこで、本調査研究は、こうした新たな農業金融体系の構築のためには、ユーザーである農家・事業体のニーズを、販売部門を含む農家・事業体の経営形態に即して資金需要の実態と課題を集め、この課題に答えようとするものです。
(6)「自動車共済の損保等への流失要因と推進・保全活動の展開方向に関する研究」
 これはJA共済連北海道の委託課題です。
 近年、自動車共済部門では共済掛金の減少傾向がみられています。その要因の一つとして損保等への流出があげられており、その流出の歯止め対策と新規契約の拡大対策が求められています。そこで本研究は、自動車共済事業における顧客の意向調査を基軸として、顧客の視点から流出要因を探ることにより自動車共済の継続率アップに向けた損保流出防止策、継続・更改、新規契約推進等の今後の取り組みと保全活動のあり方等の資とすることを目的としました。
(7)「単協・組合員の『地平線.NET』への評価とアクセス数向上策に関する調査研究
 ホクレン施設資材部が運営する、生産資材情報ホームページ・『地平線.NET』のさらなる利用拡大を目指して、農協・組合員の利用状況やニーズ、今後の方向性に関する意見を選定農協への担当者聞き取り調査・正組合員全戸アンケート調査によって把握し、今後のホームページのあり方を考察しました。
(8)「平成23年度 財団法人 北海道農業開発公社就農啓発基金委託事業」
 これは北海道農業開発公社の委託課題です。
 現状、団塊世代が引退する時期を迎えており、加えて後継者不足による新規就農者の減少など、今後ますます農業就業人口の減少が進み、それに伴う構造的な生産力の減退という北海道農業経済の縮小の流れの恒常化が危惧されています。このことから、今日、地域農業再編にとって農業の担い手の確保・育成が重要な政策課題となっています。近年、そのための方策の一つとして、経営を円滑に継承して次世代を担う若い農業者を確保・育成していく「経営継承対策」が進展していますが、課題も多いとされています。そこで、本調査研究は、これまで担い手育成の一環として各地域で取り組まれてきた経営継承対策を、親族継承を除く第3者継承の実践事例に対象をしぼり、営農類型別にその継承前後のプロセスと実態を把握・分析することにより、今後の経営継承のあり方等の資とすることを狙いとしました。
(9)「農業センサス組み替え集計ソフト開発事業」
 これは北海道農業研究センターの委託課題です。
 北農5連事業の研究課題2「センサスデータに基づく北海道農業の将来予測とその対応方向について」に関連して、その事業を進めるため個票データの集計ソフトを開発しました。この開発されたソフトにより、数十年後の北海道の農家戸数・作付面積・生産量・生産力などの推計を行うことが可能となります。
 
     
 
4.「診断事業」
 次の1件に取り組みました。。
(1)「農業・農協問題懇話会」への支援業務
 北海道農業協同組合学校(JAカレッジ)では、今後の北海道農業・JAを担う本科生をはじめとする、農業後継者の育成強化と農協役職員の資質向上を狙いとし、今後の農協活動等に関するより幅広い専門的な情報提供と見識を深めることを主目的に、大学や研究機関等の研究者との交流による研鑽の場として、平成17年度に「農業・農協問題懇話会」を発足させた経緯にあり、本研究所は本懇話会の活動に対し側面的な支援を行っています。なお、本年度は関連して、JAカレッジへの役職員の研修参加状況がJAによって格差がみられることや、JA段階の役職員教育訓練の実態を具体的に記したデータが少ないことなどから、一定の基準で選定したJAを対象として、JA段階の役職員研修体制の実態把握並びにJAカレッジの位置づけや評価等の検証を行っています。
 
     


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