調査研究事業の概要

平成24年度
 
 本研究所は、地域農業の振興を支援するなど北海道の基幹産業である農業の安定確立等を図るための実践的な研究機関として、産・学・官が結集して平成2年12月に設立され、本年で23年目を迎えております。
 調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力を得ながら、テーマごとに専門研究班を編成し研究活動を行っております。
 研究区分としては4区分あり、平成24年度の調査研究事業は、例年同様「協力研究員」の参加協力を得ながら、自ら課題を設定し進めている「自主研究」が3件、農協などからの要望に基づく地域農業振興計画策定協力・支援などの「共同研究」が3件、また、関係機関・団体から課題を委託された「受託研究」が13件、の合計19件の事業に取り組んで参りました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 次の3件に取り組みました。
(1)「北海道農業の軌跡にみる発展へのベクトル研究」
  北海道の農業史については、1960年までは「北海道農業発達史」(1963年、北海道立総合経済研究所編)で整理されていますが、それ以降の北海道農業史の編纂・執筆のためにベクトル研究会を設置し、足かけ4年にわたる精力的な調査・研究の結果、2013年3月に「新北海道農業発達史」が完成し発刊いたしました。1961年の農業基本法制定以降の北海道農業の展開の軌跡を論述し、その間の北海道農業の発展のベクトルを検証しています。TPP交渉など先行き不透明な情勢の中、今後の本道農業の方向性や食料供給に果たす本道農業の役割の可能性を示唆する内容となっていますので、是非ご一読をお薦めいたします。
(2)「日本の食糧はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題1 本道農業における人・農地問題」
  北海道の農家戸数が5万戸を下回る状況にありますが、担い手問題は稲作地帯と畑作地帯とでは様相が異なり、規模拡大を基調にしながらも法人化や第三者継承といった新しい経営展開に取組む市町村もみられます。国も人・農地プランや六次産業化といった新しい政策を導入しており、これら政策の本道での活用状況やその効果の検証と政策提言も必要です。
 24年度は先行調査として中山間地帯である道南地域を対象に調査・研究を行いました。次年度以降、順次調査先を拡大する予定です。
(3)「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題2 系統農協組織改革と経済連の対応」 
 全中が県連合会と全国連の統合方針を決定してから約20年がたちます。経済事業では35の県経済連が全農と統合し、8道県では県経済連を存置しました。組織再編後の経済事業の状況と今後の進むべき方向を考察する目的で静岡、鹿児島、熊本、愛知の中央会と経済連の調査を行いました。県連を存置した4経済連に共通する点、異なる点を精査中です。また、全農統合した長野県の中央会と全農県本部の実態も調査しました。
 
 
     
 
2.「共同研究」
 次の3件に取り組みました。
(1)「JAつべつ第8次農業振興計画策定支援業務」
 JAつべつの第8次農業振興計画(平成25年〜29年)の策定にあたり、当該農協・関係機関プロジェクト委員会に参画して鋭意取り組みました。
(2) 「JAおとふけ第8次中長期総合計画策定支援業務」
 JAおとふけの第8次中長期総合計画(平成25年〜34年)の策定にあたり、当該農協の策定メンバーに加わり、@第7次計画の検証と課題整理、Aそれらを受けた介護・育児ニーズに関するアンケート調査、およびB第8次計画書骨子(ダイジェスト版)の作成に取り組みました。
(3) 「JAとまこまい広域農業振興計画策定支援業務」
 JAとまこまい広域農業振興計画X(平成25年〜29年)の策定にあたり、JAとの共同研究として担い手意向調査、関係機関調査、農業者経営実態調査の基礎調査を実施し、課題整理を行いました。
 
 
     
 
3.「受託研究」
 次の13件に取り組みました。
(1)「活力ある新たな北海道農業を創造するためのチャレンジ」
 これは北農5連の委託研究です。これまで3ヶ年を1期として、北農5連の事務局とテーマを決定し進めてきており、本年度は4期目の2年目にあたります。見出しのテーマを基本課題として、平成23年度から平成25年度までの3ヶ年に亘り5つの小課題を設定して鋭意取り組んでおります。
 本年度は、次の3課題に取り組みました。
<研究課題>
1. 「独占禁止法適用除外問題と系統販売・購買事業の歴史的経過と今日的な役割について」 (実施年度:平成23〜24年度)
2. 「センサスデータに基づく北海道農業の将来予測とその対応方向について」 (実施年度:平成23年〜25年度) 
3.「産直・直売施設の販売展開と六次産業化への展望」 (実施年度:平成24年度)
 特に1の課題は、農協を独禁法の適用除外から外そうという動きに対して北海道の農業現場における農協事業の意義について具体的に実体的に把握し検証しようというものであり、今後、TPP問題と絡んでいっそう攻勢が強まる恐れがあるため、強い懸念を持って取り組んでおります。
(2)「米粉を活用した米消費拡大の展望についての調査研究」
 これは一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 政府は食料自給率向上のため米粉用米の生産を現状の4万トンから50万トンに、小麦を88万トンから180万トンに拡大する目標を設定していますが、北海道は小麦の大産地のため米粉用米の生産は必ずしも積極的に取り組まれていません。本研究では米粉を活用した米の需要拡大と、北海道産小麦の需要を減らすことなく両者のWin-Winの関係を模索するという2つを目的にして、米粉の生産・消費の先進的な事例調査と課題整理に取り組みました。24〜25年度の2ヶ年にわたる調査です。
(3)「農畜産物の新たな需要創出(輸出拡大)に関する調査研究(ロシア編)」
 これも一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 政府は、2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」において、農林水産物・食品輸出を2017年までに倍増させ1兆円を達成するとしましたが、農業分野では、輸出事業への取り組みの歴史がまだ浅いことから、ノウハウやスキルが乏しいのが実態です。そこで、本調査研究では、ロシア極東地域を調査対象にして、平成24〜26年度の3ヶ年で実施します。初年度の24年度はロシアやサハリン州の歴史や気候、民族、産業構造について既往の関係資料・データの収集整理を行うとともに、サハリン州の農場や輸入代理店、スーパーや市場を訪問・視察してサハリン農業の現状や食料・食品の流通、人々の暮らしと食習慣を把握しました。さらに、ロシアへの輸出手続きや税制度、輸出支援組織、府県の先進事例などの情報収集を行いました。
 次年度以降、ハバロフスク州、沿海州の調査研究に順次取り組む予定です。
(4)「てん菜生産体制に関する調査研究」
 これは、ホクレンの委託課題です。
 輪作上欠かせない基幹作物であり、地域経済を支える重要な作物であるてん菜の作付確保・拡大のため生産者に対するアンケート調査や聞き取り調査を実施しました。小規模高齢農家の作付中止や労働力不足から担い手農家での作付拡大が困難化している実態が明らかとなりました。また、高温、多雨、病気の蔓延による低糖分・低収入が作付意欲の減退につながっています。こうした実態を踏まえて、より効率的な生産体制の整備のため担い手農家のニーズの的確な把握と迅速な対応が可能となる生産支援体制の強化を提言しました。
(5) 「JA自動車共済の推進・保全活動の展開に関する研究」
 これは、JA共済連北海道の委託課題です。
 近年、自動車共済部門では共済掛金の減少傾向がみられます。昨年度は顧客の意向調査をもとに顧客の視点から損保等への流出防止対策と共済契約の保全活動のあり方、及び新規契約の拡大対策を探りました。本年度はJA自動車共済代理店を対象にした聞き取り調査を実施して、他の保険商品や保険会社の事故処理対応との比較やJA共済の強みと弱み、契約拡大に向けた代理店の意見・要望等を把握しました。
(6)「系統農機・自動車整備工場の運営に関する調査」  
 これは、ホクレンの委託課題です。
 系統では2003年に決定した「経済事業改革方針」に基づき農機・自動車整備事業やAコープ店舗、SSの再編を連合会主導で進めています。再編にあたっては当然、事業の合理化だけでなく組合員の利便性への配慮が必要です。このため道内の単協や系統関連会社の農機・自動車整備事業の実態と将来への意向にするアンケート調査を実施して、事業改善・経営改善に向けた検討資料を整理いたしました。
(7)「平成24年度水稲直播栽培等導入実態調査委託事業」
 これは、北海道庁の委託課題です。
 水稲直播栽培の道内の先進地である美唄市と岩見沢市の実態調査や農家アンケート調査、関連組織の調査を通じて、水稲直播栽培の現状や課題と直播栽培が改めて注目される要因・背景を整理しました。
(8)「バイオエタノール蒸留残渣液(DWG)の圃場還元技術の確立に関する調査」
 これは、北海道バイオエタノール(株)の委託課題です。
 バイオエタノール製造過程で発生する残渣液(DWG)の圃場還元のために、残渣液の成分分析調査を行いその肥効性が確認できました。また、次年度からの圃場における試験実施を関係する研究部署に申請して、その試験実施に向けた準備を整えました。
(9)「JA教育事業の実態とJAカレッジに期待される機能について」
 これは、JAカレッジからの委託課題です。
 JA職員教育訓練活動に役立てるために、農協職員基本資格取得率とJAカレッジ研修受講率の高い道内のJAの実態調査を実施して、具体的な取組み内容や成果と課題、JAカレッジへの要望等を整理しました。 また、JA組合員学習活動の資料収集を行いました。
(10)「新規参入者の受入システムに関する調査研究」
 これは公益財団法人北海道農業公社の委託課題です。
 農業の担い手問題が深刻化する中、昨年度は新規就農者の事例集をとりまとめ好評をいただきました。本年度は新規参入者を受け入れ、支援する道内14か所の自治体、関係機関、農協、地域担い手センターの現地実態調査を実施し、就農支援資金や青年就農給付金などの活用状況や、有形・無形資産の第三者経営継承を後押しする制度の運用事例を取りまとめました。併せて、「農業経営の第三者継承を考えるシンポジウム」(主催:北海道農業公社)のパネルディスカッションの内容を資料化しました。
(11)「六次産業化実態把握調査事業委託業務」
 北海道農政部の委託課題です。
 道内の六次産業化の取り組みは新しいものではなく種々の事例が存在します。こうした事業者に対するアンケート調査を実施し約220事業者から回答を得ました。そのうち40の事業者には現地聞き取り調査も実施しました。こうした調査を通じて道内の六次産業化の取組み実態や課題、今後の方向性を整理いたしました。   さらに、中頓別町、北斗市、網走市の3か所で開催した小規模セミナーでは、いずれの会場も盛況で予定を上回る参加者を得ることができました。
 
     
 
4.「診断事業」
 24年度の事業はありません。
 
     


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