調査研究事業の概要

平成25年度
 
  本研究所は、地域農業の振興を支援するなど北海道の基幹産業である農業の安定確立等を図るための実践的な研究機関として、産・学・官が結集して平成2年12月に設立され、本年で24年目を迎えております。
 調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力を得ながら、テーマごとに専門研究班を編成し研究活動を行っております。
 研究区分としては4区分あり、平成25年度の調査研究事業は、例年同様「協力研究員」の参加協力を得ながら、自ら課題を設定し進めている「自主研究」が5件、農協などからの要望に基づく地域農業振興計画策定協力・支援などの「共同研究」が1件、また、関係機関・団体から課題を委託された「受託研究」が13件、の合計19件の事業に取り組んで参りました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 5件の課題のうち、主な3件の取り組み状況は次の通りです。
(1)「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題1 本道農業における人・農地問題」
  北海道の農家戸数が5万戸を下回る中、担い手の規模拡大を基調にしながらも法人化や第三者継承といった新しい経営展開に取組む市町村もみられます。政府は「人・農地プラン」や「6次産業化」に続き農地中間管理機構や日本型直接支払制度の新設に加えて米政策を短期間に見直しました。新しい農政が本道農業の担い手問題や産地形成にどう影響するか、検討を要するところです。
 本研究は3年間の予定で、昨年は道南地域を、本年は上川北部地域などを対象に調査を実施しました。26年度も対象地域を拡大して実施する予定です。
(2)「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題2 系統農協組織改革と経済連の対応」
 JA全中が県連合会と全国連の統合方針を決定してから約20年がたちます。経済事業では35の県経済連が全農と統合し、8道県では県経済連を存置しました。組織再編後の経済事業の状況と今後の進むべき方向を考察する目的で静岡、鹿児島、熊本、愛知、宮崎、福井の中央会と経済連の調査を行いました。また、全農統合した長野県の状況も調査しました。調査結果のうち公表可能なものを報告書として公表しました。
(3)「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題3 人と農地にかかわる集落対策問題」 
 高齢化と人口減少は困難で深いテーマです。北海道の農村の場合、その独特な歴史と散居性という問題が加わります。また、北海道の場合、電気や道路、除雪など生活環境は農業開発を推進力に整備されましたが、この手法での課題解決はもはや困難となっています。
 本研究は、本道の農村集落の定義や集落コミュニティの内容を整理し、その対応策を明らかにするものです。調査は2年間の予定であり、25年度は府県の専門家、実践家との意見交換や道内の先進事例調査を行いました。26年度も調査・研究を継続し、北海道の農村集落問題の解決策の提言を試みる予定です。
 以上の3件のほか、農山漁村の6次産業化とTPPが本道農業に及ぼす影響とその測定の課題は情報収取を中心に進めましたが、TPPの課題については26年度より雑豆を事例にした調査研究に取組む予定です。
 
 
     
 
2.「共同研究」
 次の1件に取り組みました。
(1)「JA清里町第9期総合中期計画策定支援業務」
 JA清里町では現在の地域農業振興計画が平成26年度で終了するため、新しい振興計画を策定します。当研究所がその計画策定を協力・支援することとなり、本年度は予備調査として18戸の個別農家調査と全戸対象の意向調査(アンケート調査)を実施しました。調査を踏まえ26年度に新しい計画を取りまとめる予定です。
 
 
     
 
3.「受託研究」
 次の13件に取り組みました。
(1)「活力ある新たな北海道農業を創造するためのチャレンジ」
 北農5連の委託研究です。3ヵ年を1期として進めてきており、本年度は4期目の最終年にあたります。平成23〜25年度までの3ヵ年間に大きな基本課題の下で5つの小課題を設定し取り組んできましたが、本年度は、以下の3課題に取組みました。
<研究課題>
1. 「センサスデータに基づく北海道農業の将来予測とその対応方向について」 (実施年度:平成23〜25年度)
2. 「農協組合員意向調査」 (実施年度:平成25年度) 
 農協組合員意向調査については1〜3月に調査し、報告書の作成は7月を予定しています。
3.「国際化の中での食料基地北海道の地域戦略と東アジアの食のネットワーク化について」 (実施年度:平成25年度)
 特に1の課題は、農協を独禁法の適用除外から外そうという動きに対して北海道の農業現場における農協事業の意義について具体的に実体的に把握し検証しようというものであり、今後、TPP問題と絡んでいっそう攻勢が強まる恐れがあるため、強い懸念を持って取り組んでおります。
(2)「米粉を活用した米消費拡大の展望」
 一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 政府は食料自給率向上のため米粉用米の生産を現状の4万トンから50万トンに、小麦を88万トンから180万トンに拡大する目標を設定していますが、北海道は小麦の大産地のため米粉用米の生産は必ずしも積極的に取り組まれていません。本研究は、米粉を活用した米の需要拡大と北海道産小麦の需要を減らすことなく両者のWin-Winの関係を模索することが目的です。米粉の生産・消費の先進的な事例調査を実施し、米粉を活用した地産地消や6次産業化の取組みの類型整理を行い、報告書を作成して業務を完了しました。
(3)「農畜産物の新たな需要創出(輸出拡大)に関する調査研究〈極東ロシア 沿海地方・ハバロフスク地方編〉」
 これも一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 2013年、政府は「日本再興戦略」(6月閣議決定)や「農林水産業・地域の活力創造プラン」(12月閣議決定)において、農林水産物・食品輸出を倍増させ2020年までに1兆円を達成する目標を掲げましたが、農業分野では、輸出事業への取り組みの歴史が浅く、ノウハウやスキルが乏しいのが実態です。本研究はロシア極東地域を対象にした調査研究であり、初年度はロシアの歴史、気候、民族、産業構造などの概要とサハリンの農業・食料・食品の流通事情や人々の暮らし、及びサハリンへの輸出手続きや税制度、輸出支援組織、府県の先進事例などを整理しました。25年度は、沿海地方とハバロフスク地方を調査しました。次年度はアムール州を加えた極東地域全体への輸出拡大の可能性について調査を行う予定です。
(4)「JA共済のエリア戦略における新たな地域区分の調査研究」
 JA共済連北海道の委託課題です。
 JA共済連では、平成25年からJAの支所・支店地域ごとに共済商品の推進施策を策定する「エリア戦略」に取組んでいます。エリア戦略の地域区分は、普及指標、農家比率、高齢化比率の3つの指標から分類化されていますが、必ずしも北海道の実情に合わないため、本研究ではJA正組合員の指標を用いて北海道の大規模広域農協を対象に、新たな地域区分の設定と検証を行うものです。2年間の研究であり、25年度は、JA共済のデータおよび農業・社会経済関連指標に基づく旧市町村のセグメンテーションを基に、混合分布型クラスター分析によるエリア区分を試みました。    
(5) 「バイオエタノール蒸留残渣液(DWG)の圃場還元技術の確立に関する調査」
 北海道バイオエタノール(株)の委託課題です。
 バイオエタノール製造過程で発生する残渣液(DWG)の利用拡大のため、24年度は残渣液の窒素分解特性等各種分析調査を実施し効果が確認されました。
 25年度は採草地と一般畑地に残渣液を施用し肥料効果や接触障害の有無等について、道総研と連携して調査しました。今後、草地及び小麦後緑肥への施用法を確立して道の指導参考事項認定を得ると共にその円滑な実用化に向けて関係機関・生産者との連携強化、情報収集を進める予定です。    
(6)「JAの教育実態調査」
 JAカレッジの委託課題です。
 JA段階の組合員・役職員の学習・教育・研修活動の実態を把握するとともに、JAカレッジの位置づけや評価等の検証を行う調査です。平成23〜24年度はJA職員の教育研修活動の調査を実施しました。平成25年度は一般組合員、青年部、女性部、新規就農者、担い手などを対象にした学習活動の先進事例を調査しました。次年度も組合員学習活動の調査を継続する予定です    
(7)「系統燃料自動車事業に関するWebアンケート調査(第2回)」
 ホクレンの委託課題です。
ハイブリッドカーの普及拡大や新車ディーラーによるメンテナンスパックの販売拡大など、燃料自動車業界の事情は大きく変化しています。そこで、一般消費者を対象にホクレンの調査であることを明らかにしないで行うWebアンケートを3年ぶりに実施しました。調査結果からホクレンSSの好感度の変化や好感度向上の効果測定を行い、今後の系統燃料・自動車事業の販売戦略・サービスの改善点を考察しました。1月に報告書を提出して業務を完了しました。   
(8)「平成25年度水稲直播栽培等導入実態調査」
 北海道庁の委託課題です。
 本道の水田地帯で稲作を維持する一つの方策として「水稲直播栽培」があります。直播栽培は技術的難しさから栽培面積は停滞していましたが、品種改良や除草剤の開発など技術的改良が進み、再び面積が増加しています。道では水稲の省力化栽培技術の普及拡大を目指し、技術講習会等の各種の取り組みを行っており、その一環で水稲直播栽培先進地の実態調査を実施しています。24年度は、直播栽培の先進地である美唄市や岩見沢管内の実態調査を通じて課題を整理しました。25年度は、妹背牛町を中心に調査を行い、道南などの補足調査を含めて報告書を作成し業務を完了しました。    
(9)「土地利用型農業における担い手育成確保対策に関する調査研究」
 公益財団法人北海道農業公社の委託課題です。
 農業の担い手問題が深刻化する中、23〜24年度は道内の新規参入者や関係機関の支援策に関する事例集をとりまとめ好評を得ました。25年度は、新規参入の事例が少ない水田作と畑作の新規参入事例を発掘すると共に、水田作・畑作の新規参入促進に必要な政策提言を行うべく政策検討委員会を開催し、国の政策の動向や現地調査を通じて問題点や課題の把握につとめましたが、時間的な制約から政策論議が不十分となり、また新しい農政の影響を見極める必要もあり本年度は論点整理に止まりました。さらに検討を継続する予定です。
(10)「でん粉原料用馬鈴しょの早枯れ症状の原因究明と対策に関する実態把握調査」
 北海道馬鈴しょ生産安定基金協会からの委託事業です。
近年、でん粉原料用馬鈴しょでは早期枯凋により収量やでん粉収量の低下が生じています。原因としてはカリ過剰などの土壌肥料的要因や排水不良などの土壌物理性的要因、半身萎凋病やシストセンチュウなどの病害虫要因、生理的高温障害などが推測されています。早枯症状原因究明や対策を検討するため発生実態解析調査を実施しました。   
(11)「JAおとふけ 有機物資源の有効活用に係る調査支援・コンサルタント業務」
 JAおとふけからの委託事業です。
 JAおとふけ管内で産出される家畜糞尿等有機物を土づくりに積極的に利用し地域環境の保全と環境にやさしい効率的な処理方法を調査検討するにあたり、他町村における有機物資源の有効活用実態調査の実施を企画助言し、行政、関係団体、研究機関、文献検索等により有機物資源の有効利用に関する施策や新技術情報を収集・提供して有効活用計画策定の助言を行いました。    
 
     


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