調査研究事業の概要

平成26年度
 
 本研究所は、地域農業の振興を支援するなど北海道の基幹産業である農業の安定確立等を図るための実践的な研究機関として、産・学・官が結集して平成2年12月に設立され、本年で25年目を迎えております。
 調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力を得ながら、テーマごとに専門研究班を編成し研究活動を行っております。
 研究区分としては4区分あり、平成26年度の調査研究事業は、例年同様「協力研究員」の参加協力を得ながら、自ら課題を設定し進めている「自主研究」が4件、農協などからの要望に基づく地域農業振興計画策定協力・支援などの「共同研究」が2件、また、関係機関・団体から課題を委託された「受託研究」が11件、の合計17件の事業に取り組みました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 次の4件に取り組みました。
(1) 「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題1 本道農業における人・農地問題」
  北海道の農家戸数が5万戸を下回るなか、担い手は、規模拡大を基調にしながらも法人化や第三者継承といった新しい経営展開に取組む市町村もみられます。国も「人・農地プラン」や「農地中間管理機構」創設、また、新たな基本法策定など政策見直しに取り組んでおり、これら政策が本道農業の担い手問題にどう影響するか検討を要するところです。
 過去2か年は、道南地域や上川北部をを対象に調査・研究を進め、担い手への農地集積や輪作体系の確立、農作業支援組織の活動状況を整理し、その報告内容は学会誌に掲載しております。本年は、それら対象地域の補足調査を行い、3年間の調査研究の成果を取りまとめました。
(2) 「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題2 人と農地にかかわる集落対策問題」
 高齢化と人口減少は困難で深いテーマです。北海道の場合、府県とは違った形成の歴史や散居性という問題が加わります。また、農業開発を推進力に様々な農村整備が進められてきましたが、この手法での課題解決も困難となっています。本研究は、本道の農村集落の定義やコミュニティの内容を整理し、その対応策を明らかにするものです。昨年度は、府県の専門家、実践家との意見交換や道内の先進事例調査を行いました。、本年度は、研究班による本道集落問題の根本的課題の協議や、生活環境創出に向けた手法検討について認識を深めました。調査期間を1年延長し、27年度も調査研究を継続し、北海道の農村集落問題の解決策の提言を試みる予定です。
(3) 「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題3 農山漁村の6次産業化」
 本研究では、6次産業化の実態や国の政策について、既存の調査結果や知見を検討・整理を図るとともに、今後の事業進展に向けた提言をまとめ会報で報告しました。今後も実態動向の調査研究を継続する予定です。
(4) 「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題4 TPPによる影響分析〜雑豆を事例に」
 TPPの関税撤廃が本道農業と関連作業に与える多大な負の影響について、他の研究の知見から情報収集するとともに、関税と関割制度はあるものの、経営所得安定政策の対象外の雑豆を事例に調査研究に取り組み、報告書を取りまとめました。
 
 
     
 
2.「共同研究」
 次の2件に取り組みました。
(1) 「JA清里町第9期総合中期計画策定支援業務」
 JA清里町の第9期総合中期計画(平成27年〜31年)の策定にあたり、協力・支援を行い、10月末に最終報告書を提出しました。
(2) 「JA帯広かわにし次期農業・農協長期計画策定支援業務」
 JA帯広かわにしの農業・農協長期計画(平成28年〜32年)の策定にあたり、2か年事業として、計画策定取り進めに係る協力・支援を行い、本年度は、各生産組織の課題・要望等の整理把握の支援に取り組みました。次年度も業務を継続し、次期計画編纂の支援・協力に取り組む予定です。
 
 
     
 
3.「受託研究」
 次の11件に取り組みました。
(1) 「活力ある新たな北海道農業を創造するためのチャレンジ」
 これは北農5連の委託研究です。北農5連の事務局とテーマを決定し進めてきており、見出しのテーマを基本課題として、本年度は、次の3課題に取り組みました。なお、昨年度研究課題の農協組合員意向調査については、本年度も調査票の回収作業を継続し、集計分析を行い8月末に一次集計結果を、3月末にクロス集計結果を報告しました。
<研究課題>
 1. 「担い手不足・高齢化による労働力低下への対応策に関する調査研究」
 2. 「人・農地プランを踏まえた将来の農業経営形態の展望に関する調査研究」
 農協組合員意向調査については1〜3月に調査し、報告書の作成は7月を予定しています。
 3.「府県JAと北海道JAの事業運営の特色に関する調査研究」
(2) 「6次産業化の今日的意義と今後の展開方向に関する調査研究」
 一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 専業経営地帯である北海道において、6次産業化の取り組みをどうとらえるかを念頭に置きながら、具体的な6次産業化の動向を府県の事例調査及び他産業との関連から分析し、6次産業化の今日的意義と展開方法について明らかにするものです。2か年事業であり、本年は、6次産業化に係る統計的整理と府県事例調査および道内調査を数か所実施し、中間報告書を取りまとめました。
(3) 「農畜産物の新たな需要創出(輸出拡大)に関する調査研究」
 <極東ロシア ハバロフスク地方・アムール州編>
 これも一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 農業分野では、輸出事業への取り組みの歴史は浅く、ノウハウやスキルが乏しいのが実態です。国は、2013年5月の「攻めの農林水産業」において、農林水産物・食品輸出を2020年までに倍増の1兆円規模に拡大するとしました。本調査研究は、ロシア極東地域への国産農畜産物の輸出の可能性を3ヵ年継続で実施しています。初年度の24年度はロシアの歴史や気候、民族、産業構造などの国の概要とサハリンの農業・食料・食品の流通事情や人々の暮らし、さらに、輸出手続きや税制度、輸出支援組織、府県の先進事例などを調査しました。25年度は、沿海州とハバロフスク地方へ調査拡大し、26年度は、アムール州での調査を実施し、極東地域全体における輸出拡大の可能性について取りまとめました。
(4) 「JA共済のエリア戦略における新たな地域区分の調査研究」
 JA共済連北海道の委託課題です。
 JA共済連では、平成25年度からJA支所・支店地域ごとに共済商品の推進施策を策定する「エリア戦略」に取り組んでいます。エリア戦略の地域区分は、普及指標、農家比率、高齢化比率の3つの指標から分類されていますが、必ずしも北海道の実情に合わないため、本研究ではJA正組合員の指標を用いて北海道の大規模広域農協を対象に、地域区分の設定と検証を行うものです。昨年度は、JA共済データおよび農業・社会経済関連指標に基づくセグメンテーションを基に、混合分布型クラスター分析によるエリア分析を試みました。本年度は、農業所得のデータによる分類を行い、地域区分設定の検討を行い報告書に取りまとめました。
(5) 「バイオエタノール蒸留残渣液(DWG)の圃場還元技術の確立に関する調査」
 北海道バイオエタノール(株)の委託課題です。
 バイオエタノール製造過程で発生する蒸留残渣液の利用拡大のため、平成24年度は残渣液の窒素分解特性等各種分析調査を実施し、その肥効性が確認できました。25年度は、採草地と一般畑地において、残渣液を施用し、道総研と連携し、肥料効果や接触障害の有無等を調査し、化学肥料の代替利用を確認しました。本年度は、草地及び小麦後緑肥への施用効果を継続調査し、残渣液は化学肥料の代替として利用可能とする報告書を取りまとめました。
(6) 「JAの教育実態調査」
 JAカレッジからの委託課題です。
 JA段階の組合員・役職員の学習・教育・研修活動の実態を把握するとともに、JAカレッジの位置づけや評価等の検証を行う調査です。本年度は、JA女性職員の活動促進に関し、アンケート調査やJA聞き取り調査による実態調査を行い、報告書を取りまとめました。
(7) 「恵庭SSアンケート調査」
 ホクレンの委託課題です。
 系統燃料自動車事業では、昨年度より既存コンセプト(セルフSSではあるが、顧客対応等を拡充し利便性やイメージアップを強化)のSSを試験的に設け、それに対する顧客の満足度調査の結果を今後のSS移設新設に生かすことが計画されています。この新コンセプトSSの顧客満足度について、利用者アンケート調査を5月から6月にかけ実施し、集計・分析した報告書を10月に提出し業務を完了しました。
(8) 「アロックVIP会員アンケート調査」
 (株)ホクレン油機サービスの委託課題です。
 (株)ホクレン油機サービスが運営するSSのアロック会員制度の評価検証のため、アロックVIP会員アンケート調査を実施し、顧客満足度等の調査結果を報告書として取りまとめました。
(9) 「土地利用型農業における担い手育成確保対策に関する調査研究」
 公益財団法人北海道農業公社の委託課題です。
 農業の担い手問題が深刻化するなか、23〜24年度には、道内の新規参入者や関係機関の支援策に関する事例調査を実施しました。平成25年度には、新規参入の事例が少ない土地利用型農業である水田と畑作の現地調査を進めて検討課題の析出を試みました。本年度は、こうした現地の実態を踏まえながら、有識者による政策検討会議での議論や空知管内の行政、JA部課長との意見交換を通じ、酪農や野菜経営に比べて水田・畑作への新規参入が少ない原因の解明と政策提言を取りまとめました。
(10) 「でん粉原料用馬鈴しょの収量低減要因解析事業」
 北海道馬鈴しょ生産安定基金協会の委託課題です。
 近年、でん粉原料用馬鈴しょにおいて収量の低下傾向が見られていますが、この原因として地球温暖化など気象要因の影響が大きく、また土壌肥料的な要因や生理障害なども含めて種々の要因が複雑に絡み合い収量低減を引き起こしていると考えられますが、未だ不明な部分が多く効果的な対策を講じる上で障害となっています。今後のでん粉原料用馬鈴しょの安定的な生産振興に向け、効果的な対策技術を構築推進するために、生産現場における早枯症状や各種病害虫の発生、湿害や干ばつなどの生理障害の発生状況、土壌養分に起因する酸性障害や栄養障害の発生状況等、収量低減の構成要因について調査・解析し報告書に取りまとめました。
(11) 「平成26年度水稲直播栽培等導入実態調査」
 北海道庁の委託課題です。
 道では、水稲の省力化栽培技術の普及拡大を目指し、技術講習会等の各種の取組みを行っていますが、その一環として平成24年度は水稲直播栽培の先進地である美唄および岩見沢地域、平成25年度は、北空知地域の妹背牛町の直播栽培取組み農家や非取組み農家に対する調査とJAなど関係機関調査を行い直播栽培普及の課題の整理と提言を行いました。本年度は、旭川地域への調査を実施、過去2か年の調査内容を整理し、今後の直播導入の可能性と展望について取りまとめました。
 
     


一般社団法人 北海道地域農業研究所
札幌市北区北6条西1丁目4番地2  ファーストプラザビル7階
電話 (011)757-0022 FAX (011)757-3111