調査研究事業の概要

平成27年度
 
 本研究所は、地域農業の振興を支援するなど北海道の基幹産業である農業の安定確立等を図るための実践的な研究機関として、産・学・官が結集して平成2年12月に設立され、本年で26年目を迎えております。
 調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力を得ながら、テーマごとに専門研究班を編成し研究活動を行っております。
  平成27年度の調査研究事業は、自ら課題を設定し進めている「自主研究」が2件、農協などからの要望に基づく地域農業振興計画策定協力・支援などの「共同研究」が1件、また、官庁・関係機関・団体から課題を委託された「受託研究」が10件、の合計13件の事業に取り組みました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 次の2件に取り組みました。
(1) 「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題1 人と農地にかかわる集落対策問題」
  高齢化と人口減少は困難で深いテーマです。北海道の場合、府県とは違った形成の歴史や散居性という問題が加わります。また、農業開発を推進力に様々な農村整備が進められてきましたが、この手法での課題解決も困難となっています。本研究は、本道の農村集落の定義やコミュニティの内容を整理し、その対応策を明らかにするものです。研究班を設置し、府県の専門家、実践家との意見交換や道内の先進事例調査ならびに本道集落問題の根本的課題の協議や、生活環境創出に向けた手法検討を行っています。本年度は、3年間の調査研究の成果を報告書として取りまとめました。
(2) 「日本の食料はどうなるのか−北海道農業の位置づけ− 研究課題2 農山漁村の6次産業化」
  本研究では、6次産業化の実態や国の政策について、既存の調査結果や知見を検討・整理を図るとともに、今後の事業進展に向けた提言をまとめ、昨年会報で報告しました。本年度も道南地区での事例調査を行い、学会や会報で報告しました。
 
     
 
2.「共同研究」
 次の事業に取り組みました。
(1) 「JA帯広かわにし次期農業・農協長期計画策定支援業務」
 JA帯広かわにしの農業・農協長期計画(平成28年〜32年)の策定にあたり、昨年度から2ヵ年事業として、計画策定取り進めに係る協力・支援を行い、年度内に計画書取りまとめを完了しました。
 
     
 
3.「受託研究」
 次の10件に取り組みました。
(1) 「多様な価値観に応える北海道農業の展望」
 これは北農5連の委託研究です。北農5連の事務局とテーマを決定し進めてきており、見出しのテーマを基本課題として、本年度は、地域の農業経営を支える労働力支援に関する調査や、今後も中核を担う複数の経営形態の調査など、4課題に取り組みました。
<研究課題>
 【研究課題1】「担い手不足・高齢化による労働力低下への対応策に関する調査研究」
 【研究課題2】「人・農地プランを踏まえた将来の農業経営形態の展望に関する調査研究」
 【研究課題3】「今後の地方創生におけるJAの果たすべき役割に関する調査研究」
 【研究課題4】「担い手の育成・確保に関する調査研究」
(2) 「6次産業化の今日的意義と今後の展開方向に関する調査研究」
 一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 専業経営地帯である北海道において、6次産業化の取り組みをどうとらえるかを念頭に置きながら、具体的な6次産業化の動向を府県の事例調査及び他産業との関連から分析し、6次産業化の今日的意義と展開方法について明らかにするものです。2か年事業の最終年である本年度、最終報告書を取りまとめました。
(3) 「ICT活用によるスマート農業の実態と農業強化への展望に関する調査研究」
 これも一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 次世代農業といわれるICTを活用したスマート農業の現在の実態を調査し、今後この新分野の進展状況と農業生産・流通・消費の段階にどう影響を与えていくかを分析することで、今後の農業強化の展望を明らかにするものです。2か年事業であり、本年は、スマート農業の全体像の整理と、水稲・畑作地帯での導入事例調査を実施し、中間報告書を取りまとめました。
(4) 「でん粉原料用馬鈴しょの収量低減要因解析事業」
 北海道馬鈴しょ生産安定基金協会の委託課題です。
 今後のでん粉原料用馬鈴しょの安定的な生産振興に向け、効果的な対策技術を構築推進するために、生産現場における早枯症状や各種病害虫の発生、湿害や干ばつなどの生理障害の発生状況、土壌養分に起因する酸性障害や栄養障害の発生状況等の調査に加え、土壌構造・物理性の違いによる水分障害、高温障害の影響等、総合的な調査解析を図り、収量低減要因について報告書に取りまとめました。
(5) 「JAの教育訓練調査」
 JAカレッジからの委託課題です。
 JA段階の組合員・役職員の学習・教育・研修活動の実態を把握するとともに、JAカレッジの位置づけや評価等の検証を行う調査です。本年度は、「組織活動による教育」に取り組んでいる青年部のアンケート調査、聞き取り調査を実施し、実態分析を行うとともに、JAカレッジに求められる役割について報告書を取りまとめました。
(6) 「土地利用型農業における担い手育成確保対策:要約版作成」
 公益財団法人北海道農業公社の委託課題です。
 本年度は、過去2か年の成果である土地利用型農業における担い手育成確保対策に関する研究報告から、新規参入の必要性や予想される参入タイプの事例紹介、地域的支援の重要性など、新規参入促進に向けた要約版資料を取りまとめました。
(7) 「てん菜作業支援体制に関する事例調査事業」
 ホクレンの委託課題です。
 近年、高齢化等により農業労働力の不足が切実な課題となっています。特にてん菜栽培は育苗作業など重作業が多く、そのことがてん菜作付面積減少に一層拍車をかけています。本調査においては、JA実施のてん菜作業支援事例を調査し、てん菜栽培に係る各種作業軽減・効率的作業支援策について報告書に取りまとめました。
(8) 「准組合員利用規制が導入された場合の北海道におけるJA共済事業への影響」
 JA共済連北海道の委託課題です。
 今般の農協法改正では、JAの理事の過半数を認定農業者とすること、公認会計士監査の義務付け、全中の一般社団法人化、そして農業委員会法、農地法での改正がなされました。本調査では、農協法改正の引き金となったこれまでの農協改革論議の狙いや背景、改正された農協法の問題点を明らかにするとともに、准組合員のJA共済事業利用の実態把握と利用規制の影響分析を試みました。
(9) 「北海道農業労働力実態調査」
 北海道庁の委託課題です。
 人口減少や高齢化が進行するなか、収穫作業や選果作業など多くの雇用労働力を必要とする農業現場では、労働力が充分確保できない状況となっているため、地域の実態を踏まえた上で、雇用する側と就業する側の双方にとってより良い環境を整備し、安定した労働力を呼び込む必要があります。
 本調査では、道内在住の求職者や学生・退職高齢者等が持つ農業就業へのイメージや希望条件・課題などの実態調査・分析と、求人側の生産者やJA集出荷施設での労働力需要状況を調査し、安定雇用に向けた環境整備のあり方について報告書を取りまとめました。
(10) 「地域農業・農村戦略策定推進事業」
 北海道庁の委託課題です。
 地域農業や農村が、今後も豊かで活力ある社会を築いていくには、資源の再発見と新たな産業づくりの可能性など、地域における農業・農村の持つ潜在力の把握と総合的評価を図り、潜在力が最大限に発揮され、雇用や所得の確保につなげる取り組みが求められます。本調査では、道内6か所でモデル的に地域資源調査を実施し、その地域の持つ潜在力を評価して付加価値向上に向けた分析やこれまでの取り組みを評価検証し、地域主体の取り組み支援策の策定に資する検討結果を報告書として取りまとめました。

 
     


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