調査研究事業の概要

平成29年度
 
 本研究所は、地域農業の振興を支援するなど北海道の基幹産業である農業の一層の発展を図るための実践的な研究機関として、産・学・官が結集して平成2年12月に設立され、本年で28年目を迎えております。
 調査研究事業にあたりましては、大学、試験場などの「協力研究員」の参加協力を得ながら、テーマごとに専門研究班を編成し研究活動を行っております。
 平成29年度の調査研究事業は、自ら課題を設定し進めている「自主研究」が5件、農協・関係機関・団体から課題を委託された「受託研究」が12件、の合計17件の事業に取り組みました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 「『生消』提携をベースとした力強い北海道農業の構築を目指して」を基本テーマに、次の5件について取り組みました。
(1) 「【研究課題1】六次産業化・農商工連携の展開と農産物・食料市場のニューウェーブ」
  本研究は、北海道で多様に展開されている六次産業化・農商工連携の事例から、その所得確保や後継者確保、地域農業や地域活性化への寄与等に関する実態把握を行うとともに、食料市場における消費・流通形態の新たな動向をニューウェーブと包括的にとらえ、事例の収集・分析を通じて、これからの北海道農業に示唆される事項を提言として取りまとめるものです。本年度は、研究班による調査研究体制・取組方法の協議を行い、今後具体的な事例検証に取り組みます。
(2) 「【研究課題2】北海道における農村生活史と農協による生活インフラ形成に関する調査研究」
  本研究は、北海道の農村生活を生活史として明らかにするとともに、そのなかで様々な展開を見せてきた農協の生活関連事業の成果(生活インフラの形成)を整理し、その成果が農協や地域住民に与えてきた意義や今後の課題を明らかにするもので、複数年の調査研究を計画しています。本年度は、農協による生活インフラ形成の整理に取り組むとともに、農村生活に関わるインフラ整備に大きく寄与してきた、生活改良普及員による生活改善運動の展開経過と意義について検討整理しました。
(3) 「【研究課題3】准組合員問題に関する調査研究」
  本研究は、連合会が実施している正・准組合員アンケート結果や准組合員数の多い農協への調査を通じて、准組合員の農協事業の利用状況、今後の意向、サポーターづくりとの関連性等の実態把握を行い、准組合員対応のあり方に関する方向性や事業利用規制の不当性にかかる論点整理を行う調査研究です。本年から2か年事業とし、本年度は、複数の農協を選定し、研究班による准組合員の農協事業利用等の実態調査ならびに、有識者の組合員論の抽出協議を実施しました。
(4) 「【研究課題4】消費者交流事業の展開とその効果に関する調査研究」
  本研究では、これまで様々に展開されてきた交流事業の実例について、それぞれの特徴・問題点などを整理するとともに、交流事業が農業生産者やJAの地域農業生産・流通のあり方などに及ぼしてきた影響・結果、ならびに消費者、地域住民にもたらした影響・結果等を検討し、今後の交流事業の方向性を考察するもので、本年度は、研究班における取組計画の協議ならびに事例提供による協議検討に取り組みました。
(5) 「【研究課題5】北海道における労働力逼迫下での経営対応に関する調査研究」
 農業経営が直面している労働力問題について、昨年度は、上川北部の畑作地域を調査し、雇用労働力不足が地域の農業構造にも影響を及ぼしていることを確認しましたが、本年度は、オホーツクの酪農地帯を対象に、大規模酪農経営における労働力調達の実態及び労働力支援組織の活用状況を調査し、今後の経営対応のあり方等の考察を取りまとめ、当研究所機関誌において報告しました。

 
     
 
2.「受託研究」
 次の12件に取り組みました。
(1) 「平成30年産以降の北海道の水田農業のあり方に関する調査研究」
 これは北農5連の委託課題です。
 道内の代表的な地域のJAならびに中核的な経営体に対する水田利用の状況や今後の意向の実態調査を実施し、今後の水田作経営の規模・形態、取り組み課題についての検討整理、経営モデル策定・分析からの方向性検討の調査研究を行い、今後の水田作のあり方について報告書に取りまとめました。
(2) 「新たな農協間協同に基づく広域農業振興の可能性に関する調査研究」
 これも北農5連の委託課題です。
 各地域で進展している、新たな農協間協同について、そのビジョンや取組内容、効果について調査を行い、農協、農協連、連合会や関係機関の役割分担を明らかにし、農協間協同に基づく広域農業振興の可能性や在り方について報告書に取りまとめました。
(3) 「農産物流通構造の多様化と今日的意義に関する調査研究」
 これは一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 本調査研究では、卸売市場を中心とした青果物流通システムの変革が求められているなかで、北海道の青果物流通の現段階を把握するとともに、全国でみられている新たな青果物流通システムの萌芽の実態調査から、今後の北海道の青果物流通の課題・展開方向を考察するものです。2か年事業とし、最終年となる本年度も継続して事例調査を実施し、農産物流通構造の多様化の意義について報告書に取りまとめました。
(4) 「業務用米の実態と今後の動向に関する調査研究」
 これも一般社団法人北海道農産物協会の委託課題です。
 米政策の見直しが進むなか、その需要については、主食用の減少が見込まれるのに対し、外食・中食向けの業務用の伸びが期待されています。本調査研究では、現状における業務用米の需給実態やニーズの変化、産地、実需者が展開している取り組み等について調査し、今後の米の生産、販売の資とする考察を行うものです。2か年事業とし、本年度は、業務用米の実態、産地、実需者の調査を行い、中間報告書に取りまとめました。
(5) 「ホクレン百年史部分執筆業務」
 ホクレンの委託課題です。
 ホクレン百年史編纂に際し、九十年史以降の社会・農業情勢や系統組織を取り巻く状況の概観部分、ならびにホクレン事業の直近10年間の総括部分について執筆取りまとめを担当するものです。2年目となる本年度、北海道農業・農村における環境変化と、この10年間のホクレン事業について取りまとめ、最終原稿を提出しました。
(6) 「土壌病害蔓延防止のための効果的・効率的なてん菜輸送体制の確立」
 農研機構生研支援センターの委託課題です。
 本研究は、ホクレン・道総研十勝農業試験場との共同研究事業とし、欧州製除土積込機の導入・実証試験により、土壌病害蔓延防止のための効果的・効率的なてん菜輸送体系の確立を目指しています。2年目となる本年度は、遊離土砂の発生実態と専用堆積場における現地調査から、専用堆積場での遊離土砂軽減効果を確認するとともに、除土積込機導入の有効性について考察し、他研究機関とともに報告書に取りまとめました。
(7) 「てん菜作付面積の維持確保に向けた農業従事および就農に関する調査」
 ホクレンの委託課題です。
 過年度実施した道内JAにおけるてん菜作業支援体制の調査に加え、てん菜を作付けしている新規就農者、労働者確保に取り組むJA・農業法人等に対する聞き取り調査を行い、農業従事および就農の実態と課題を整理検証し、今後のてん菜作付面積の維持確保に向けた考察を行い、報告書として取りまとめました。
(8) 「土地利用型農業の経営継承問題に関わる調査」
 公益財団法人北海道農業公社の委託課題です。
 農業における担い手確保には、農業者子弟だけではなく、外部からの人材確保がより一層求められており、その対策として、新規参入者受け入れ、第三者継承などの取り組みが行われています。本調査では、土地利用型農業の経営継承問題に関し、水田・畑作・酪農地帯における後継者不在農業者の経営移譲や引退行動等の調査を行い、経営移譲者側として準備・検討すべき経営継承計画の意義や取り組み方についての提言を報告書として取りまとめました。
(9) 「十勝育成牧場の運営検討支援業務」
 公益財団法人北海道農業公社の委託課題です。
 十勝育成牧場は、北海道の酪農・畜産振興にその機能を発揮しているところですが、施設および機械の老朽化が進み、対応が急がれる状況にあります。そこで、有識者による「十勝育成牧場運営検討委員会」を設置し、その事業を検証し、牧場運営、施設・機械整備のあり方などの検討を行い、今後の当牧場の運営方針検討に資する報告書を取りまとめました。
(10) 「JA教育研修活動の実態調査とJAカレッジに期待される機能について」
 JAカレッジからの委託課題です。
 道内JA職員の離職率は他産業に比べ低い実態にあるものの、今後の健全なJA経営のため、優秀な学生の確保、離職の低減がきわめて重要です。そのため、職員採用や就労環境の改善、職員の教育訓練に積極的に取り組むJAや地区連合会等の現地調査を実施し、JA職員の確保・定着化に必要な採用方法、就労環境、定着化方策、職員育成の仕組み等について検討分析を行い、提言として取りまとめました。
(11) 「JAおとふけ組合員アンケート分析業務」
 JAおとふけの委託課題です。
 JAおとふけが実施した、JA事業にかかる組合員アンケート調査に参画し、アンケート結果から組合員の各事業に対する評価、期待等についての分析を行い、考察結果を報告書として提出しました。
(12) 「音更町農業労働力支援事業にかかるアンケート集計・分析業務」
 音更町農業労働力支援協議会の委託課題です。
 十勝管内においても農作業を補完する短期雇用労働者は、その確保が年々厳しくなっている状況下、本調査では、町内の雇用労働力の需給実態把握のため、農家全戸へのアンケート調査を行い、現場での労働力確保の現況と課題について分析し、今後の労働力確保対策に資する報告書を取りまとめました。

 
     


一般社団法人 北海道地域農業研究所
札幌市北区北6条西1丁目4番地2  ファーストプラザビル7階
電話 (011)757-0022 FAX (011)757-3111