調査研究事業の概要

平成30年度
 
 北海道地域農業研究所は、地域農業の振興に関する調査・研究により、北海道の基幹産業である農業の一層の発展に寄与する実践的な研究機関として、産・学・官が結集して、平成2年12月に設立され、本年で29年目を迎えました。
 調査研究事業につきましては、大学、試験場等の研究者の皆様に「協力研究員」としてご協力いただき、研究課題ごとに専門分野の研究員による研究班を編成し、調査・研究活動を取り進めています。
 平成30年度の調査研究事業では、研究所が企画した「自主研究」5課題、農協、関係機関・団体から委託された「受託研究」11課題、合わせて16課題の調査研究に取り組みました。
 これら事業の概要は次のとおりです。
 
     
 
1.「自主研究」
 自主研究については、「『生消』提携をベースとした力強い北海道農業の構築を目指して」を基本テーマに掲げ、次の5課題に取り組みました。

(1) 「研究課題1 六次産業化・農商工連携の展開と農畜産物・食料市場のニューウェーブ」
 本研究は、北海道で多様に展開されている六次産業化・農商工連携の事例を収集・類型化し、その所得確保や後継者対策、地域農業や地域活性化への寄与等に関する実態把握を行い、進展する食料市場のニューウェーブとの関連から、これからの北海道農業の新たな展開への提言を取りまとめるものです。
 本年度は、有機農産物の生産・販売、ルーラルツーリズム、新たな小麦流通の動き、学校給食等の事例研究に取り組みました。

(2) 「研究課題2 北海道における農村生活史と農協による生活インフラ形成に関する調査研究」
 本研究は、北海道の農村生活を生活史として明らかにするとともに、そのなかで様々な展開を見せてきた農協の生活関連事業の成果(生活インフラの形成)を整理し、その成果が農協や地域住民に与えてきた意義や今後の課題を明らかにするものです。
 本年度は、農協による生活インフラ形成の整理に取り組むとともに、その整備に大きく寄与してきた、生活改良普及員による生活改善運動および、農協の生活購買事業に関する調査研究を取り進めました。

(3) 「研究課題3 北海道における准組合員の実態と対応方向に関する調査研究」
 本研究は、既存の正・准組合員アンケート結果や農協への調査を通じて、准組合員の農協事業の利用状況、今後の意向、サポーターづくりとの関連性等の実態把握を行い、事業利用規制の不当性にかかる論点整理と准組合員対応のあり方に関する方向性を提言するものです。
 本年度は、2ヶ年にわたる調査を終え、報告書に取りまとめました。

(4) 「研究課題4 消費者交流事業の展開とその効果に関する調査研究」
 本研究では、これまで様々に展開されてきた消費者交流事業の実例について、それぞれの特徴・問題点などを整理するとともに、交流事業が農業生産者やJAの地域農業生産や流通、ならびに消費者、地域住民にもたらした影響等を分析・検討し、今後の交流事業の方向性を考察するものです。
 本年度は、生協、生産者、連合会ならび民間の実施している交流事業の事例調査に取組みました。

(5)「研究課題5 農業経営における雇用労働力管理の実態に関する調査研究」
 労働力問題について、これまでの調査で、上川北部の畑作地域については、雇用労働力不足が地域の農業構造に与える影響について、オホーツクの酪農地帯については、大規模酪農経営における労働力調達の実態及び労働力支援組織の活用状況を明らかにしました。
 本研究は、これまでの調査結果を踏まえ、先進的な担い手経営における労働力の選択要因とその重要性を調査し、雇用労働力管理の実態と特徴的な取組みについて明らかにするものです。
 本年度は、JAふらの管内の野菜経営の雇用労働の利用実態と収穫作業請負の効果を明らかにするとともに、3ヶ年にわたる調査結果を取りまとめ、食農資源経営学会において報告いたしました。
 
     
 
2.「受託研究」
 受託研究については、次の11課題に取り組みました。

(1) 「営農計画の策定および利活用の実態に関する調査研究」
 この課題は、北農5連委託事業関連課題です。
 農業を取り巻く環境変化が加速するなか、将来に向けた安定的な農業経営を実現するため、営農計画に着目して、道内各地域のJAにおける利活用実態・課題について調査し、その評価を行うとともに、さらなる利活用に向けた取組みと支援体制について考察し、報告書に取りまとめました。

(2) 「野菜産地の維持・拡大に向けた現場ニーズに関する調査研究」
 この課題は、北農5連の委託事業関連課題です。
 収穫作業時に多くの労働力を必用とする野菜産地において、労働力不足が深刻な問題となっていますが、需要が高く、作付面積の減少が激しいかぼちゃを中心に、現在関係機関が開発中のかぼちゃ茎葉処理機の普及性と現場の課題・ニーズ等を調査・分析の上、報告書に取りまとめました。

(3) 「JAが実施する無料職業紹介事業のニーズに関する調査研究」
 この課題は、北農5連の委託事業関連課題です。
 農業分野での労働力不足に対応する有効策と考えられる、JAが実施する無料職業紹介事業について、その運用状況と課題を調査し、その事業ニーズと、運用に際して連合会に求められる役割等を整理し、今後の取組み強化に向けた提言を、報告書に取りまとめました。

(4) 「担い手・法人における農業リスクに関する調査研究」
 この課題は、北農5連の委託事業関連課題です。
 農業で起こりうる潜在的なリスクに関して、主に規模拡大のため労働力を外部雇用し、分業化の進んだ法人経営体を中心に調査し、リスクの発生状況、リスク管理体制、補償内容に関する要望等を整理し、農協・連合会に求められる今後の対応方向について考察し、報告書に取りまとめました。

(5) 「業務用米の実態と今後の動向」
 この課題は、「一般社団法人 北海道農産物協会」からの委託課題です。
 米の消費需要については、主食用米の減少が続いている一方で、外食・中食向けの業務用米へのシフトが進んでいますが、その流通・販売体制の構築に向けた新たな動き等を2ヶ年にわたり調査し、需給実態やニーズの変化、そして今後の業務用米の動向を分析し、報告書に取りまとめました。

(6) 「土壌病害蔓延防止のための効果的・効率的なてん菜輸送体系の確立」
 この課題は、「農研機構 生研支援センター」からの委託課題です。
 本研究は、ホクレン・道総研十勝農業試験場との共同研究事業で、欧州製除土積込機の導入・実証試験により、土壌病害蔓延防止のための効果的・効率的なてん菜輸送体系の確立を目指しています。3ヶ年目となる本年度は、遊離土砂の発生実態と専用堆積場利用の現地調査を行い、導入機による遊離土発生軽減効果と有効性について考察し、他研究機関とともに報告書に取りまとめました。

(7) 「てん菜作付けの労働力確保に向けた取り組み及び新規作付に関する調査研究」
 この課題は、「ホクレン農業協同組合連合会」からの委託課題です。
 てん菜の作付面積維持・確保には、労働力人材や、雇用システムの継続した検討が重要ですが、本研究では、道内外の労働力確保に向けた先進的取り組みと、新たに作付を開始した事例調査を行い、今後のてん菜生産基盤維持・強化に向けた取り組みについて考察し、報告書に取りまとめました。

(8) 「新規参入者の確保・拡大等に関する調査研究」
 この課題は、「公益財団法人 北海道農業公社」からの委託課題です。
 北海道における農業への新規参入者は、全国対比で少ない現状ですが、今後の新規参入者の確保・拡大のため、実績のある道外の先進事例と関係機関のノウハウ等に関する調査を行い、新たな方策を検討し、報告書に取りまとめました。

(9) 「JA教育研修活動の実態調査とJAカレッジに期待される機能について」
 この課題は、「一般財団法人 北海道農業協同組合学校」からの委託課題です。
 道内JA職員の離職率は、他産業に比べ低い実態にあるものの、優秀な学生の確保、離職の低減は極めて重要です。そのため、職員採用や就労環境の改善、職員の教育訓練に積極的に取り組むJAの現地調査を実施し、JA職員の確保・定着化に必要な採用方法、就労環境、定着化方策、職員育成の仕組み等について調査・分析を行い、報告書に取りまとめました。

(10) 「豆類価格安定対策事業における価格差補てん事業の検討に関する調査研究」
 この課題は、「公益社団法人 北海道豆類価格安定基金協会」からの研究助成事業の課題です。
 平成28年度の当研究所の調査で、その事業の有効性確認と基本価格水準の課題を指摘した豆類価格差補てん事業について、改めて畑作経営上の北海道雑豆(金時・手亡)の意義を明らかにするとともに、新たな基本価格の算定方式の検討のため、JA・生産者、府県の事例調査を行い、今後の対応方向を考察し、報告書に取りまとめました。

(11) 「JAおとふけ組合員アンケート調査分析業務」
 この課題は、音更町農業協同組合からの委託課題です。
 JAおとふけが平成30年12月に実施した、「スマート農業に関する調査」および「堆肥の利活用及びコントラクター事業に係るアンケート調査」の結果について、内容を詳細に分析し、報告書に取りまとめました。

 
     


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