平 成 29 年 度 事 業 計 画

T. 基 本 方 針  
   このところ急激に勢いを強めた「農業・農村攻撃」は2017年度に至るも、その勢いは弱まりそうにもない。弱まるどころか、一昨年の「農協・農業委員会・農業生産法人改革」の顛末に味を占めたのか、その推進役=規制改革推進会議の諸提言は農業・農村の現実に根ざすどころか「一部の意見を絶対視し」、絶対に提言を現実化しようとの意図に塗り固められているよう思える。全農の購買事業の見直し(特に生産資材関連)然り、農産物販売の買取販売への転換然り、牛乳・乳製品の生産・流通等の改革、いわゆる「不足払い法」の改変・廃止然りである。そこには「金銭的な損得」勘定・意識はあっても、それぞれに“独特な形状・重量”などの“個性を持った物体”(もの)との意識が極めて微弱で、独断的・独善的と言わざるをえない。われわれも必要な改革の自主的遂行に尽力しつつ、政府の「農業競争力強化プログラム」などに反映される可能性のある、これら謬見に毅然として立ち向かっていかなければならない。
 ところで、この間、大いなる争点でなしてきたTPPはアメリカ・トランプ大統領の登場で状況は一変した。TPP関連法案の国会承認も早々と終え、トランプ大統領に 「TPP・自由貿易の重要性を訴え、説得する」との安倍首相の意気込みにも拘わらず、頓挫・終末を迎えたと見ても良い。しかし、これで安心しているわけにはいかない。   TPP以上に市場開放を迫られ兼ねない「日米FTA」の可能性、更に協定によらない(国会審議や承認の必要ない)「覚え書き」「取り決め」(以前の「自動車の輸出自主規制」)などの危険性も否定できないからである。また、関連して「総合的なTPP関連政策大綱」の行方にも関心を持ち続けなければならない。
 以上のような情勢の下、「北海道地域農業研究所に係る事業検討会」の基本的考え方を踏まえつつ、当研究所では今年度、以下の課題に取り組んでいきたい。
 一つは、JA・農業団体や北海道・市町村などによる地域振興策の策定・樹立に、より一層の貢献・支援していくことができるように、「産官学」態勢の強化を図っていきたい。
 二つに、農業はもちろん「食」「生活」「社会」関連分野をも射程に入れ幅の広い協力・連繋の構築を図るべく、それらの教育・研究機関、研究者との協力・連携関係を密にしつつある。事実、昨年度から食生活論の専門家の研究協力も得、また「博士(文学)」の学位を持つ研究者を専任研究員として迎え入れた。それは農業振興に役に立つだけではなく、「550万サポーター」づくりにも大きな力になっていくことは疑いない。
 そして三つに、以上の態勢を整えつつ、北海道農業及び農村地域の振興に係わる諸問題に地域の視点から取り組み、地域の将来予測や関係機関のあるべき姿などに関してより有効で説得力のある提言を行っていきたい。
 平成29年度においても、当研究所に対して種々の研究テーマの委託が予定されている。また、自主研究のテーマも「『生消』提携をベースとした力強い北海道農業の構築を目指して」を総合テーマとし、今年度は「地域の生活インフラ(基盤)機能としての  JA」「六次産業化・農商工連携の展開と農産物・食料市場のニューウェーブ」「消費者交流事業の展開とその効果」の研究グループのスタートを期したい。また、北海道産農産物輸出の推進とも関わって、輸出可能地域の情報などを可能な限り収集分析し、参考として供していきたい。
 以上のように、農業を取り巻く情勢に的確に対応した調査研究を推進し、会員・関係機関の負託に応えていけるよう事業を推進していきたい。
 
 
U. 調査研究事業の取り組み
1. シンクタンクとして期待される機能の発揮
(1) 自主研究
 農業・農村を取り巻く情勢変化を踏まえ、北海道農業の役割や地域における位置づけなどについて検証を図るとともに、地域農業、地域社会の維持ならびに活性化に向けた対応方策等の調査研究を推進する。
 「生産者・消費者提携をベースとした力強い北海道農業の構築を目指して」を基本テーマとして、今後の北海道農業が抱える重要課題について適時取り組む。
(2) 共同研究
 JAおよび市町村が取り組む地域振興計画策定に積極的に参画し、支援に取り組む。
(2) 受託研究
ア 会員をはじめ、関係機関・諸団体からのニーズに的確に対応した調査研究に取り組むとともに、専門的な対応力の充実により質的向上を図る。
イ 個別課題の情報収集や公募事業への参画に努め、提案型研究の推進を図る。
2. 大学・研究機関等との連携強化や支援
(1)  大学や研究機関等との研究協力・情報交換など連携を促進し、調査研究事業の充実強化に努める。
(2)  協力研究員などの専門家ネットワークと生産現場・地域をつなぐ役割を積極的に推進する。
 
V. 研究成果の発信と情報提供の強化
 当研究所の基本理念である地域の農業振興に寄与するとの視点から、各種情報を定期的・効果的に、農業関係者に限定せず発信する。
 
1. 機関誌「地域と農業」の活用
(1)  紙面構成は、農業を取り巻く情勢の変化に的確に対応したタイムリーな企画を掲載し、会員及び関係機関の負託に応えられる様、効果的な情報発信と提言を行うべく、引き続き企画内容の充実に努める。
(2)  配布先を広げ、喫茶店や医療施設の待合室及び報道機関等への配布を行っているが、新たな業種業態への配布等を行い、継続して農業関連の情報をより広く発信するように取り進める。
(3)  また、当研究所の事業活動についても都度具体的に伝えることで、農業に関わる専門シンクタンクとしての認知度を高める。
 
2. 地域農業研究年報の発行
(1)  平成28年度に実施した調査・研究課題の概要をまとめた、「地域農業研究年報」を発行する。
 
3. 地域農業研究叢書の公開と出版助成事業の継続
(1)  自主研究・共同研究・受託研究の成果の中から、対外的に公表が可能であり、利活用が期待できるものは地域農業研究叢書として公開する。
(2)  若手研究者の育成と支援を目的として、出版助成事業を継続する。助成申請された中から、選考委員会での審査を経て助成対象として選定された原稿は、学術叢書として出版し、規定に基づき助成を行う。
 
4. ホームページの活用
(1)  会員及び非会員への情報発信ツールの一つとして、当研究所のホームページを活用する。また、ホームページへの来訪者・利用者の増加を目指し、内容の更新頻度を高めると共に、利用状況の確認も行う。
(2)  ホームページ上で閲覧できる調査研究成果を更に拡充するために、依頼元の了解を得て、公開情報の量的な拡大と内容の充実を図る。
 
5. 事業活動等に関する定期的な情報発信
(1)  JA及び農家組合員向けの情報誌に、当研究所の活動や研究成果を定期的に掲載する等、より多くのツールを活用して効果的な情報発信に努める。
(2)  輸出に関する情報等、農業を取り巻く情勢に的確に対応した情報の収集と分析をおこない、これらの情報を農業関係者に限定せず、幅広く発信する。
 
6. 農業者モニター会議の開催
(1)  農業者モニター会議を開催し、農業者の生の声を聞くことでタイムリーな地域の情報を収集して、情勢の変化に的確に対応した効果的な調査研究と提言をおこない、機関紙等で研究成果を発信する。
 
7. 研修会の開催と講師の派遣等
(1) 研修会・研究会などの開催
   定期開催している「総会時特別講演会」「農業総合研修会」ほか、研究成果の報告会等を都度開催する。また、「農業総合研修会」は平成28年度に引き続き地方都市での開催を計画する。
(2) >講師の派遣>
 講師派遣業務の推進状況を、会員や関係先により広く認知して頂き、派遣の要請内容に基づき適任者を紹介・斡旋・派遣する。
 
W. 組織運営等に関する取組み
1. 経営基盤の安定化と組織体制の強化
(1) 会員の加入促進
 地域が抱える課題への個別対応や講師の斡旋・派遣、会員に向けた情報の発信等により、調査研究事業に対する理解と賛同を得、新規会員の加入を促進する。
(2) 人員体制の強化
 専門職研究員を中心として調査研究事業の領域を広げるとともに、地域や関係機関との連携を密にし、担当する職員の質的な向上を図る。
(3) 各種会議体の開催
 調査研究事業のあり方や研究課題の提案など、参与会・運営委員会を適宜開催し、諮問事項を事業推進に反映させる。
 


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