北海道農政部では平成5年4月、「新北海道花卉生産振興方針」を設定し、北海道農業の戦略作物ととして花卉の振興を図るための基本を示している。その一環として、平成5年度科学技術振興費による「カジュアルフラワーの需要拡大の見通しと本道における生産のあり方に関する研究」を課題化し、当研究所がこれを受託し、取り組んだ。
本道は、土地条件や気象条件が府県と異なることから、独自にその振興方向を検討する必要がある。したがって、この調査研究にあたっては、関係者によるプロジェクトチームを編成し、「カジュアルフラワー」の需要動向調査及び生産方向検討と幅広い分野にわたる調査研究が必要である。同時に、今後の重要な課題と位置づけされるので、関係者の意向を反映する研究会方式によって、調査計画、調査結果、生産・流通の方向等について論議するための研究会を3回開催した。
まず消費者のアンケート調査、生産者・関係者のアンケート調査を実施したのち、第1回研究会として報告した。次に、流通拠点調査として大阪・名古屋・東京(近県含む)・札幌について調査を行うとともに、花卉の先進的産地、とりわけカジュアル的生産・供給の事例について道内外の産地を調査して、第2回研究会ではそれらの結果について報告するとともに北海道における生産のあり方について検討した。第3回研究会では提言の取りまとめについて検討論議し、これまでの内容について最終報告書として委託者に提出した。
北海道は我が国の食糧基地として重要な位置にあり、道外への移出量は年々拡大の傾向にある。国内外の産地間競争が激化している中で、遠隔地として物流の合理化を推進し、大消費地における競争力の維持・強化を行うことは極めて重要な課題である。このため、北海道開発局より道産農産物の流通上の問題点・課題の把握と輸送高度化システムの検討について、平成4~5年度の2ヵ年事業として調査依頼があった。
平成4年度は過去10ヵ年の農畜産物全般の移出データ等を収集・整理し、品目ごとに経年変化とその動向分析を行った。また、産地、輸送業者、及び市場等、流通諸段階における実態についてアンケートやヒアリングにより調査を行い取りまとめた。
平成5年度は前年度の取りまとめの結果に基づき、今後、移出量の伸長が期待され、また、輸送上の課題も多い、青果物、花卉、牛肉等の生鮮品の物流に的を絞って調査を行った。
網走開発建設部から北海道開発協会経由で、管内の農業動向と農産加工事業について、平成4年度からの2ヵ年事業で調査を行った。
網走管内は道内でも有数の大規模な畑作、酪農・畜産地域であることを背景に、ビート糖、でんぷん、乳製品等の製品加工の生産割合が高く、基幹産業として地域経済に大きな影響を与えている。また、同時に当管内は、馬鈴しょ、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃ、アスパラガス等伝統的な野菜の生産地であり、野菜を利用した加工食品事業のウェイトは高い。近年、府県での野菜生産・作付の減少により、北海道へのシフトが進んでいるが、当地域の野菜作付面積も年々増加しており、このような良好な原料基盤のもとに野菜加工企業も相当数立地している。
平成5年度の調査では加工形態(調理冷凍食品、野菜冷凍食品・缶詰、漬物、乾燥食品)ごとに、管内の代表企業4社を抽出し、具体的な事例調査を実施した。また、管内の食品企業に対してメールによるアンケート調査も行った。さらに各品目の全国あるいは全道の統計データや輸入統計を駆使し、その需給動向をとらえて長期的な推移を把握しながら問題点等を整理した。
青果物の価格変動は、生産者はもちろんのこと消費者にとっても大きな関心ごとである。本調査研究は、青果物の出荷の動向が卸売市場の価格形成にどのような影響を与えているかのメカニズムを解析するとともに、その結果が消費地での価格変動にどのように結びついているかを明らかにしたものである。
分析対象品目はダイコン、ホウレンソウ、レタス、トマト、ピーマンの5品目で、調査対象年次は昭和63年~平成3年の5ヵ年、調査対象市場は札幌、旭川、函館、帯広、北見の5ヵ所の卸売市場と東京中央卸売市場大田市場とした。また、卸売市場の入荷量と価格データはNAPASS(農林水産省農業研究センターで開発された全国農産物市況分析支援システム)から検索したデータを利用した。