エネルギー資源の枯渇と環境破壊の問題から、クリーンな自然エネルギーへの依存は今後ますます高まると考えられる。しかしながら、この分野における我が国の開発・利用は欧米諸国に比べ著しく遅れているのが現状である。ましてや、農業分野での利活用についてはほんのわずかしか例がなく、石油依存の農業が展開されている。
当研究所では、平成6~8年度の3ヵ年で、地域エネルギーとして将来農業に利用できそうな、「風力」、「ソーラー」、「コジェネレーション(熱・電力併用)」、「地熱利用」を中心とした技術について、実態調査等を通して、その導入の可能性を探った。これまでの過去2年間では、1)国内外の現状調査、2)道内における資源の地域分布、3)各種技術の調査を終え、基礎的なデータの集積を行った。
本年度は最終年度であり、施設栽培のハウス、揚水施設、畜産のふん尿処理、融雪等農業への利活用の可能性について調査を実施し、単年度の成果とともに、3ヵ年の総合的な報告書の取りまとめを行った。
我が国の酪農は、国際化の進展、高齢化に伴う飼養頭数の減少、多頭化に伴う環境問題の顕在化等、解決しがたい多くの課題を抱えている。本調査事業は、こうした課題に対応すべく、新たな草地酪農のあり方について検討することを目的に、八雲町春日地区を事例対象として、平成6年度より5年間かけて実施するものである。平成8年度の主な取り組み内容は、1)「酪農再編基本構想」の策定、2)「草地の利用計画図」の作成、3)「居住環境調査」、4)「草地及び施設の最適配置計画」の策定、の4方向である。
以上について調査・検討の上、本年3月委託者に報告書を提出し、本年度の業務を完了した。なお、報告書については委託者側で作成・公表することとなっている。また、本調査事業の名称は、平成7年度まで「新時代対応草地酪農システム確立調査事業」であったが、平成8年度より表記の通り改称された。
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北海道農業開発公社では、農地保有合理化事業の実施に関し、農地価格の低落基調の下で農家の経営規模拡大を円滑に進める観点から、農地の取得価格形成の妥当性について検討を行うこととしている。
本調査業務は、その一環として平成7年度から3ヵ年の予定で本道の主要農業地帯別に農地価格の形成要因等を把握するとともに適正な農地価格のあり方について調査検討を行うものである。
本年度は、前年度に実施した稲作・畑作地帯に引き続き、酪農地帯を対象として、根釧草地型酪農地域・天北草地型酪農地域・畑地型酪農地域の別に各代表的な2市町村を選定し、農地価格のあり方の分析に関する基礎調査(機関調査、農家事例調査)を行い、その結果を基に道内の農業関係大学等の研究者による検討会議において検討を重ね、これらの結果を報告書として取りまとめ委託者へ提出した。次年度は、これまでの2ヵ年にわたる調査検討を踏まえ、さらに本年度から始めた地価問題に先行的な業績を持っている西欧諸国についての研究を新しい課題に取り入れて分析を深め、本調査業務の課題について総合的な検討に取り組む予定である。
本調査業務は、コントラクター事業の受託予定農作業に関して、公平な標準請負料金設定の基礎を得ることを目的に、平成7年度から3ヵ年の予定で、酪農・畑作・稲作の各農業経営部門の別に、サービス需要サイドの利用料金負担限界、サービス供給サイド(コントラクター)の運営実態、比較対象農家(自己完結型・共同利用組織利用型)の費用負担実態等について調査分析を行うものである。
本年度は、酪農部門(継続)と畑作部門(新規)を対象に、酪農部門について、前年度に引き続き根釧・天北(草地型)並びに十勝(畑地型)の各酪農地域において飼料作に係る農作業の受委託が行われている代表的な5町村を調査対象地域として、1)委託酪農家の特徴と費用負担の実態、2)請負料金設定方式のあり方等について調査研究を行った。また畑作部門については、畑作に係る農作業を受託実施されている代表的な2町村を調査対象地域として、1)農家の作業受委託意向の調査、2)比較対象農家を対象とした一部作業についての実態調査等を実施した。次年度は、畑作部門(継続)のほか、稲作部門についての調査研究にも取り組み、併せて3ヵ年間にわたる調査研究を土台として、本調査研究の初期の目的である「標準的な請負料金設定のあり方とその上限・下限の水準」に焦点を絞り、総括的な検討を行う予定である。
中山間地域は、地形等生産条件の不利、担い手農家の高齢化等多くの問題を抱えており、地域の活性化のためには、生産基盤や生活環境の整備のみならず、担い手農家の育成確保、地域に適した農業生産のあり方、農業と林業の連携等、多角的な視点からの取り組みが必要とされている。そこで、本事業では、中山間地域の農家経済や地域資源管理の実態等について調査し、更に問題点の把握や地域活性化のあり方についての検討を行い、現在国が実施している中山間地域総合整備事業を円滑に進めるための方向を明らかにすることを目的としている。
本事業は、平成7年度から3ヵ年にわたって実施することとなっている。昨年度(平成7年度)は、中山間地域の基幹作業である農業及び林業の現状と課題を把握するため、道内の代表的な中山間地域から4市町村(下川町、士別市、初山別村、今金町)をピックアップし、フィールド調査を実施した。本年度(平成8年度)は、中山間地域における農林業活性化の取り組み状況を把握するため、これに該当する道内及び道外の市町村の実態調査を実施した。道内の調査事例は、下川町、穂別町、大滝村、滝上町、乙部町の5町村である。道外の調査事例は、長野県南信濃村、広島県千代田町、島根県横田町の3町村である。来年度(平成9年度)は2ヵ年にわたる調査結果を通じ、本道における中山間地域の農林業の活性化策、地域資源や自然の管理のあり方等について総括的に検討する予定である。
平成6年10月4日発生の北海道東方沖地震(M7.9)等、近年発生した地震災害により、酪農地域である根室管内を中心に甚大な被害が生じ、畜産経営に大きな影響を与える事態となった。特に、停電の発生によりパイプラインミルカー等の搾乳機器が使用不能となり、毎日の搾乳作業に大きな支障を与えた。搾乳作業に支障が出れば、乳房炎の発生等乳牛生体に被害を与え、その後の生乳生産量や酪農経営のみならず、地域経済にも大きな影響を与えることにもなる。今後の災害に備え、長時間停電時における酪農への影響を最小限とする地域対応システムを提案することが本事業の狙いである。
本調査では、調査対象地区を別海町、中標津町、標津町とし、平成8年10月に機関調査・農家調査等で被害状況の把握を行い、さらには平成8年11月(JAべっかいは平成7年11月にJAで実施)全農家を対象とした地震対策アンケート調査を3JA(べっかい、計根別、標津)で実施した。具体的には、自家発電機の所有状況・利用実態・停電時の搾乳状況・非常用自家発電機の導入に対する考え方を中心に調査した。
以上内容について、数次にわたる検討会を実施し、本年3月に最終報告会を開催するとともに委託者に調査報告書を提出し、業務を完了した。
既に作成されている「オホーツク北網地方拠点都市地域基本計画」では、北見市、網走市、美幌町、女満別町、端野町の2市3町が一体となって、都市機能を向上させることにより、オホーツク圏全体の振興と活性化を図ることを目指している。
地方拠点都市の整備にあたっては、都市と農業・農村の一体的発展がなされるよう、農業・農村の立場に立った農業生産基盤及び農村生活基盤の整備計画の策定が求められている。
そこで本受託研究では、当該地域における農業・農村整備計画の策定に先立ち、農業・農村の現状と課題について調査・分析を行い、今後のあるべき姿を展望しつつ、地域の意向を基に農業・農村整備の方向性を提言した。
以上内容について、3月に調査報告書の提出をもって業務を完了した。
輸入自由化による市場競争の激化は、WTO体制を待つまでもなく既に始まっているが、今後ますます激化するであろうことは衆目の一致するところである。
北海道農業が生き延びるためには、安全・安心(クリーン)といった差別化や品質向上も戦略の1つではあるが、なんといっても土地条件を生かした規模によるコスト低減の追及が求められる。
水田、畑作、酪農の分野で現在行われている大規模経営の実態を調査し、彼らが抱えている問題点、目標、規模拡大に必要な政策等を洗い出し、北海道における大規模経営の存立条件について明らかにする目的で、北海道開発局からの委託により、本年度については個人経営の農家を調査した。その結果を踏まえ、平成9年度は大規模存立の条件について更に調査し、行政としての支援策の具体化に寄与する予定である。
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新食糧法の施行により、米の生産・流通に関する規制の緩和や市場原理の導入、更にはミニマム・アクセス米の輸入増加等、米をめぐる環境が大きく変化し、産地間競争が一層激化している中で、生産調整を踏まえた新たな本道水田農業の安定的な発展方策を検討する必要がある。
本調査研究では、現地関係機関調査(当麻、深川・イチヤン、秩父別、南幌、栗山、穂別)、農家アンケート調査(南幌、イチヤン、秩父別、当麻)、集落農家悉皆調査(秩父別、当麻、南幌)を実施し、地域の歴史、地域農業の変遷、担い手の変化、転作の定着度合い、米市場の差別化に伴う水稲生産構造の変化、転作緩和への対応について実態の把握を行った。