JA北海道中央会、JA北海道信連、ホクレン、JA北海道厚生連、JA共済連北海道本部は、その総意により、平成14~16年度の3ヵ年間にわたり多面的かつ総合的な農協事業運営体制の調査研究に着手することとし、当研究所はこの調査研究業務を受注した。
今年度は平成14年度実施した道内農協の組合員全戸を対象にしたアンケート調査(第1次アンケート)、平成15年度実施の農協の意向並びに自己評価のアンケート調査(第2次アンケート)に続き、系統事業方式と農協事業体制の整備に関する農協意向調査(第3次アンケート)を実施した。
なお、3年間の調査研究の総括として、1)農協の組織・運営システムの再構築の課題、2)農協事業改革と連合会機能、3)営農指導事業を核とする農協業務体制の3点について整理の上、北海道の農協事業運営体制を再構築するための方策を提示・提案する。
ニセコ町は、農業を取り巻く厳しい環境(農産物の市場経済論理への移行や規制緩和、担い手不足等)を打破し先進的かつ近代的な経営体を育成確保するため、意欲ある地域農業者を「担い手経営者」と認定するとともに、企業的経営管理能力を涵養するための講座「21世紀ニセコ農業塾」を平成14年度から開講している。当研究所は昨年度に引き続き本塾を支援するための業務を受託した。
カリキュラムには、農業経営管理の基本となる簿記を中心に、併せて「リフレッシュタイム」と称する時間を設け、各界講師から農業振興に関する多様な話題を受講生に提供した。
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本調査研究は、平成13年度に堆肥センターの実態把握に関するアンケート調査を開始し、14年度及び15年度にそれらの分析結果を踏まえて、堆肥の地域内及び広域的な流通促進に不可欠である畜種と耕種との連携強化に大きな期待が寄せられている道内各地の堆肥センターを対象として、運営に係る実態調査を実施し、技術的課題と運営に係る諸問題の解析並びに解決方法を検討した。
今年度は一連の調査研究の締めくくりとして、前年度までの調査結果に基づき家畜ふん尿の利用促進に向けた「堆肥センター運営に係るシンポジウム」の開催及び「堆肥センター運営改善指針」の策定作業を行った。
北海道農政部では、経営感覚に優れた効率的でかつ安定的な農業経営体を指導・育成するにあたり、農業改良普及センター等が利用する経営改善指導のため、並びに経営形態別及び経営階層別の農業経営動向を分析し、農業情勢の変化に適宜対応すべく施策検討を行うための基礎資料作成に取り組んでいる。
本業務は、こうした資料の作成に寄与するため、全道の農業改良普及センターを通じて収集された、簿記記帳を行っている農家300戸のデータ(経営概況や経営収支等)を素材として、調査農家を7つの経営形態(水稲、畑作、酪農、野菜、肉牛、花卉、果樹)に区分し、経営形態別経営概況、財務状況の年次変動について集計・検討を行った。また、調査農家のうち稲作、畑作、酪農について、6ヵ年継続調査農家を対象に、地域別、野菜作導入有無別、規模等による収益状況の差異について分析を行った。
本調査業務は、過疎に直面している農村地域の実態とそこでの農業の現状を把握し、その活性化に果たす施策の構築と実践に関わる課題について検討したものである。その具体的な内容は以下の通りである。
まず、将来、農業人口の減少が農業・農村にいかなる影響を与えるのか検討した。具体的には、コーホート・センサス間移動率法を用いて、地域別または市町村別に算出した平成17年(2005年)から平成42年(2030年)にかけての農業構造の動向を分析し、それを基礎資料として農業・農村の存立基盤の今後の将来展望について考察した。
続いて、人口の減少に悩む市町村は一体どのような地域問題に直面しているのか、またそれに関わってどのような施策を講じてきたのか解明するため、農業振興地域を有する206市町村を対象にアンケート調査を行った。それと同時に、過疎対策に取り組んでいる市町村の実態調査を実施し、アンケート調査では把握できなかった施策の形成過程や地域固有の課題等を明らかにした。
最後に、これらの調査結果を踏まえて、農業・農村の存立基盤を形成するための諸課題について提起した。
本調査は、北海道てん菜協会の委託を受け、畑作主要地帯の十勝、網走管内において、てん菜栽培を直播のみでおこなっている農家を対象に、平成15年産てん菜について、経営面積毎に直播栽培の単位あたりの生産費調査を実施し、移植栽培と比較して直播栽培の優れた点を検証することを目的としている。
調査対象農家は、十勝管内10戸、網走管内5戸、計15戸である。調査農家を、てん菜面積「3~5ha未満」「5~7ha未満」「7ha以上」に3区分し、集計・分析を行った。比較対象する移植栽培のデータは農林水産省統計情報部公表の「てんさい生産費データ」を使用した。
道内農協は準組合員比率が70%を超える、全国でも高い地域である(全国40%)。それは、離農後正組合員の准組合員化がスムーズに行われていること、生活店舗等の事業利用が多いこと、ローンや共済事業等の加入等が契機となっているためである。
本調査では、道内農協における準組合員参加の現状とJAによる地域対策の実態を明らかにした上で、農協事業・地域特性との関連を考慮した推進上の課題を提示することを目的としている。
具体的には、1)平成16年5月に実施された当研究所「系統事業方式と農協事業体制の整備に関する農協意向調査」をもとに全道農協の員外利用状況と准組合員対策について分析、2)准組合員対策を先進的に行っているJA(JA道央・JAいわみざわ・JAオホーツクはまなす)を対象とした実態調査、3)全国における準組合員対策と課題についてJA共済総合研究所において視察・聴取調査、という3つのアプローチから調査を行った。
食品の安全性を確保し、消費者の食品に対する信頼を回復することを目的として、現在、食品全体の生産・流通過程に対するトレーサビリティ・システムの導入が政策的に進められている。
本調査の目的は、昨年度実施した「青果物トレーサビリティ・システムの導入に係る調査業務」に続き、青果物を対象に生産履歴情報の蓄積やトレーサビリティを確保するシステムについて、実用性や課題を明らかにすることである。そのため、本業務では生産履歴データベース・システムの検証、情報開示システムに関する意向調査、トレースバック・システムの検証という3つの調査を実施した。
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北海道の酪農経営は飼料基盤を有し自給飼料生産を行いながら営まれているが、毎日の作業である飼料の調製等の作業は個々の酪農経営が行っており、そのため天候不順等による飼料品質のリスク等は個人に帰属することになっている。
こうした中で、飼料の収穫調製だけでなく、貯蔵を共同化し飼料を混合してTMR飼料を調製し、個々の酪農経営に配送するという、通称「TMRセンター」の設立の動きが活発になってきた。
本調査研究では、先進事例の取り組み経過をもとに、このTMRセンターの設立や運営の留意点について具体的に取りまとめた。
平成10年セルフスタンド事業の解禁に伴い、当初都市周辺部に集中していたセルフスタンドが次々と農村部にも進出しつつある。農協系統としても農家やスタンド利用者の動向を分析して適切な対応を図る必要があり、今回道内の典型的な業態の新札幌、屯田、稚内、羽幌、中標津の給油所5ヵ所でドライバーに対し直接アンケート調査を行い、意向を把握した。
アンケート数としては各4日間で新札幌937件、屯田640件、稚内427件、羽幌261件、中標津518件の合計2,783件となった。アンケート内容から地方ほど「価格差があってもセルフには抵抗がある」というユーザーが多く、特に農家の高齢者には今のセルフシステムでは給油が難しいと感じられた。また、農協給油所の利用に関して、1)会社が指定している、2)組合員だからという理由も見られ、農協の全体業務との関連での利用が見られた。一方若者は、「安価であれば何処でも方式にはこだわらない」という意見が多かった。
以上のアンケート結果をまとめたデータの提出をもって、本業務は完了した。
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道産米の販売強化を目的として中央会に設立された「北海道米販売拡大委員会」では今まで定期的に食味試験を行い、それをコメ消費拡大PRに用いてきた。その目的の主な点はPRのための適切なキャッチコピーを見出すことにあったために、今まではPR企画会社に委託して食味試験を行い、コメ購入の主体である主婦層を対象とした簡便な試験を実施してきた。
今回当研究所が食味試験を受託する際にも、従前の試験を踏襲するということで契約されたが、当研究所としては1)北海道米の食味はここ数年新品種の導入で飛躍的に向上している、2)品質管理の面でも全国で最も整備されたライスセンター網によって粒径・色彩・品質の面で均質な商品を提供できること、3)消費者の食味も多様化していて従来の良食味基準に変化があるのではないかと考えた。
このような要素を考え、また北海道米が最も力を入れている外食・中食のいわゆる業務用米販売に役立つデータを取りたいという意図から、1)試験は公的に認知されるものとする、2)食味試験に合わせて物理特性のデータも得る、3)アンケートを含めたデータをクロス集計によって角度を変えて分析することとし、北海道大学大学院農学研究科農産物加工工学研究室との共同研究を実施した。
試験は札幌・東京・大阪の主婦を対象に機縁法にて年代別にサンプリングし、1ヵ所108名のブラインドテストと、それに伴う関係者を含めたアンケート調査を行った。
北海道農業は、生産性の高い専業的な経営が展開され、食料・農業・農村基本法に基づき、計画的に施策の推進が図られてきたところである。しかし、農業従事者の減少・高齢化・農地面積の減少が加速化しており、このまま農業の生産構造の脆弱化が進行すれば、食料の安定供給や多面的機能の発揮等に重大な支障が生じることが懸念される。
このため、効率的かつ安定的な農業経営体の育成・確保により、これらが生産の相当部分を担う農業構造を確立することが急務である。また、担い手・農地制度、品目横断的政策等の施策の集中化・重点化にあたっては営農類型ごとの課題や地域の実情を踏まえて推進する必要がある。
これらの問題意識に基づき、本調査研究では農業経営に関する農家意向のアンケート調査を実施して、その集計・解析を行うとともに、農業環境政策の推進のため、バイオマス資源の循環利活用を検討するための実態整理を行った。
北海道農業を取り巻く環境は厳しく、高齢化や農地の減少が進んでいる。農業生産構造の脆弱化が進行すれば、持続可能な循環型農業への転換や資源循環型社会システムの構築を進めるうえでも支障が懸念される。そこで、本業務では担い手政策の新たな展開に向けた整備の方向や、大規模土地利用型農業における品目横断的政策の導入への対応について検討するため、次の2つの調査を実施した。
1つ目は、担い手政策の新たな展開に向けた体制整備調査である。新「基本計画」の検討過程で制作支援対象として認定農業者が想定されているが、この認定農業者制度は農業経営基盤強化促進法に基づく「明日の農業を担っていく効率的かつ安定的な農業経営を育成することを目的」とした客体措定である。農業・農村における活力の源泉は「人」そのものであり、「農業人の再生産社会システム」を構築することが求められている。認定農業者制度が発足して10年が経過したが、北海道における認定農業者は約2.5万戸、主業農家に対する比率は57.6%であるものの、地域によるばらつきは極めて大きい。そのため、北海道における水田地帯・畑作地帯・酪農地帯でそれぞれ2地区を選定し、調査対象地域における「認定農業者制度」の運用実態と特徴を検討した。
2つ目は、大規模土地利用型農業における品目横断的政策の方向性検討調査である。本調査では、品目横断的政策の方向性検討調査である。本調査では、品目横断的政策の影響を大きく受けると予想される土地利用型畑作地帯として、十勝・網走地方を対象に営農実態を整理し、品目横断的政策の導入により生じることが想定できる課題を、農家経営・農地流動化・地域産業等の視点から整理し、導入の留意点について検討した。
本調査業務では、水田農業地帯とそこでの生産基盤の改善に寄与してきた農地保有合理化事業に注目し、これまで同事業が果たしてきた役割とその推進に係わる多面的な課題を現地調査の結果をもとに検証し、それを手がかりにして農地保有合理化事業の今後のあるべき展開方向について考察した。
はじめに、これまで同事業の実績が多かった水田地帯に属する市町村を対象とした現地調査を実施した。調査対象は北村、新篠津村、深川市、士別市、美瑛町の5市町村である。続いて、これらの市町村における実態調査を通じて、各地における農地の利用状況、担い手の経営状況、担い手が合理化事業を導入して得た経営成果、担い手や関係機関からみた合理化事業の問題点等を明らかにした。そして、これらの分析結果を踏まえたうえで、合理化事業の今後のあり方について提起した。
中央農業総合研究センターでは、水田作の新技術に対する経営的評価や、耕種経営における経営管理の高度化に関する研究の一環として、「長期動向を考慮した農業設備投資の意思決定支援システムの構築」という課題を実施している。この研究の目的は、農業経営の設備投資計画を事前に評価し、その後の経営展開を予測するシステムを構築することである。
しかし、このシステムの構築にあたり、教科書的な考え方だけで、かつ規範的データのみに基づいて構築したシステムでは、実際の農業経営あるいはそれを支援する機関で実用に耐えるのは困難である。それを回避するには、実際の農業経営のデータを活用し、かつ農業経営者からの助言等が必要不可欠である。
そのため当研究所では同センターからの委託により、この支援システムのプログラム作成のための、専業稲作主体経営による信頼度の高い経営データ収集を実施した。具体的には、本道稲作中核地帯である北村の稲作農家3戸を選定、経済データ及び農作業日誌データの記帳を依頼し、所定のデータ収集を行った。
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「食糧・農業・農村基本計画」の見直しにおいて検討されてきた「新たな経営安定対策(品目横断的政策)」は、国内農業において担い手を明確にしたうえで、農業経営に関する各種施策を集中的・重点的に実施し、構造改革を通じた競争力の強化を図るとともに、国際規律の強化にも対応し、国境措置に過度に依存しない経営の安定化を図ることとして平成17年3月25日に閣議決定された。
平成19年産からの導入となるこの「新たな経営安定対策」の要点は、これまで行われてきた畑作経営における品目別対策を、品目横断的な面積直接支払(緑の政策)と生産量・品質に対する支払(黄の政策)等を組み合わせた政策に転換するというものである。
北海道JAグループは、このような制度の変更設計にあたっては、北海道畑作の持続的発展のために政策要求運動が必須となることから、農業者からの意見・要望等を収集・整理することとした。またその際、「新たな経営安定対策」の資料を配布し、理解を深める機会としても活用することとした。
本事業では、今年度は畑作農業経営者に意向を伺うアンケート票を作成・配布し、その回収を関係農協に委託している。次年度は回収したアンケート票を集計・解析して報告する予定である。
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