本事業ではこれまで、3ヶ年を1期として北農5連の事務局とテーマを決定し進めてきており、本年度は4期目の2年目にあたる。見出しのテーマを基本課題として、平成23年度から平成25年度までの3ヶ年にわたり5つの小課題を設定している。
本年度は、次の3課題に取り組んだ。
「研究課題1:独占禁止法適用除外問題と系統販売・購買事業の歴史的経過と今日的な役割について」では、農協等への独占禁止法適用除外について平成23年9月に公正取引委員会と農林水産省から「直ちに廃止する必要はない」との結論が出されたものの、これまで度重ねて論議されている議題であり、TPP交渉参加問題等の規制緩和の動向等を鑑みると再び議論の俎上に上がる可能性もかなり高いことから、2ヵ年計画で系統事業の役割や機能についての検証を行い、独禁法適用除外の維持に向けた論点整理を行っている。
「研究課題2:センサスデータに基づく北海道農業の将来予測とその対応方向について」では、平成22年1月開催の食糧農業農村審議会企画部会においてセンサスデータを活用して平成32年度の全国の農業生産力の推計が公表されたことを受け、協力関係にある農業試験場と連携して同様の手法による中期的な北海道の農家戸数・作付面積・家畜飼養頭数等や農業生産力の推計を3ヵ年計画で行っていく。
「研究課題3:産直・直売施設の販売展開と六次産業化への展望」では、道内の農協・農業法人が取り組んでいる地域ブランド品作りや食や食材、加工品の提供による六次産業化の取り組み事例を調査し、その類型化を図ることにより、農協等のさらなる取組に資することを目的とした。
現状における北海道の米粉用米の生産は米主産県の中でも必ずしも積極的に取り組まれてはいない。このため、生産サイド・消費サイドの両面からの先進的な取り組み事例や課題についての調査研究を行い、北海道の米粉の生産と消費の拡大に寄与することができるよう調査研究を行うことが必要である。
しかしながら、北海道は我が国内における最大の小麦の産地であり、米消費拡大にあたっては、北海道の小麦の需要を減らすことなく、むしろ需要を喚起することも配慮して取り進める必要がある。このため、米粉を活用して北海道米のさらなる消費拡大を目指すことと併せて、北海道産小麦とのWin-Winな関係を模索することも必要である。
本研究事業はそうした問題意識から、平成24年~25年の2ヵ年にわたり取り組むものである。平成24年度は、米粉の生産から流通にわたる、いわゆる構造的な基礎的分野の実態調査(ヒアリング調査)を行い、その結果について中間報告会を平成25年3月に開催した。
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政府は、平成22年6月に閣議決定した「新成長戦略」において、農林水産物・食品輸出を平成29年までに倍増させ1兆円を達成するとしたが、農業分野では輸出事業への取り組みの歴史がまだ浅いことから、ノウハウやスキルが乏しいのが実態である。
そこで本調査研究では、ロシア極東地域を調査対象にして、平成24~26年度の3ヵ年で実態調査を実施することとした。初年度の24年度はロシアやサハリン州の歴史や気候、民族、産業構造について既往の関係資料・データの収集整理を行うとともに、サハリン州の農場や輸入代理店、スーパーや市場を訪問・視察して、サハリン農業の現状や食料・食品の流通、人々の暮らしと食習慣を把握した。さらに、ロシアへの輸出手続きや税制度、輸出支援組織、府県の先進事例等の情報収集を行った。
次年度以降、ハバロフスク州、沿海州の調査研究に順次取り組む予定である。
輪作上欠かせない基幹作物であり、地域経済を支える重要な作物であるてん菜の作付確保・拡大のため、てん菜生産に関する現状の問題点を把握し、より効果的な生産体制のあり方について検討を行うため、本事業では生産者に対するアンケート調査や聞き取り調査を実施した。
この結果、小規模高齢農家の作付中止や労働力不足から担い手農家での作付拡大が困難化している実態が明らかとなった。また、高温、多雨、病気の蔓延による低糖分・低収入が作付意欲の減退につながっていた。
こうした実態を踏まえて、より効率的な生産体制の整備のため担い手農家のニーズの的確な把握と迅速な対応が可能となる生産支援体制の強化を提言した。
近年、自動車共済部門では共済掛金の減少傾向がみられている。そのため、この要因と解決策を探りJA自動車共済・自賠責共済の今後の展開方向について検討する必要がある。
昨年度は、顧客の意向に関するアンケート調査をもとに、顧客の視点から損保等への流出防止対策と共済契約の保全活動のあり方、及び新規契約の拡大対策を探った。本年度は継続研究として、JA自動車共済代理店を対象にした聞き取り調査を実施して、他の保険商品や保険会社の事故処理対応との比較やJA共済の強みと弱み、契約拡大に向けた代理店の意見・要望等を把握した。
系統では平成15年に決定した「経済事業改革方針」に基づき農機・自動車整備事業やAコープ店舗、SSの再編を連合会主導で進めている。再編にあたっては当然、事業の合理化だけでなく組合員の利便性への配慮が必要である。このため本事業では道内の単協や系統関連会社の農機・自動車整備事業の実態と将来への意向にするアンケート調査を実施して、事業改善・経営改善に向けた検討資料を整理した。
本事業では、水稲直播栽培の道内の先進地である美唄市と岩見沢市の実態調査や農家アンケート調査、関連組織の調査を通じて、水稲直播栽培の現状や課題と直播栽培が改めて注目される要因・背景を整理した。
その結果、岩見沢・美唄地域で直播栽培の面積が伸びた要因として、両地域ともに研究会や指導者が大きな役割を果たしたこと、岩見沢地域では転作田での大豆と小麦の連作障害回避を意図して水稲乾田直播が伸びやすかったこと、美唄地域では高齢化に伴って離農農家が増加し、残った農家は農地の受け手として規模拡大を余儀なくされてきたことから省力化・コスト削減の需要が強かったこと等が大きな要因であることが明らかになった。一方、収量の不安定さ、雑草対策、直播栽培に適した良食味品種の開発等が課題として同時に浮上してきた。また、一部地域では圃場基盤整備、直播用機械の必要性が高いことが示された。
本事業では、バイオエタノール製造過程で発生する残渣液(DWG)の有効活用を図るべく、各種成分組成分析及び土壌における窒素分解特性調査を実施した結果、圃場還元のためにはDWGの遠心分離後の分離残渣を利用することで、その肥料効果が期待できることが明らかとなった。また、農地還元実用化のための今後の課題点について整理し、次年度以降圃場における肥効確認試験実施に向けて試験計画案を策定した。
次年度以降、3ヵ年で道総研畜産試験場及び十勝農業試験場にて肥効確認試験を取り進め、併せて関係町村、JAとの連携強化のための調査を推進していく予定である。
JAカレッジでは、JA北海道中央会の定める人材育成のための方針や研修体系に従い、JA職員となる本科生の教育や農協役職員の資質向上、及び農業後継者等の育成に努めてきた。その結果、JAカレッジの研修参加実績は近年増加傾向にあるが、依然としてJA間には格差がみられる。また、JA段階の組合員・役職員の学習・教育活動の実態を十分に把握できるデータも少ない。
これらのことから、本事業では先進的なJAの職員教育訓練体系やその具体的な取り組み内容を調査し、その成果と課題や、JAカレッジの位置づけ、評価等を把握して、JA教育訓練活動の事例を取りまとめた。
農業の担い手問題が深刻化する中、農業者子弟が就農し親世代を補助するだけの形から基幹労働者へ、そして経営主となっていくまでには長い時間がかかり、親子間の経営継承のみに頼っていては農業者の世代交代が円滑に進むとはいいがたく、農業者子弟以外の外部からの人材の一層の確保が求められている。
こうしたことから、本事業では昨年度、農業者子弟以外の新規農業参入者の事例について調査を行い、事例集として取りまとめた。本年度は新規参入者を受入・支援する道内14か所の自治体、関係機関、農協、地域担い手センターの現地実態調査を実施し、就農支援資金や青年就農給付金等の活用状況や、有形・無形資産の第三者経営継承を後押しする制度の運用事例を取りまとめた。併せて、「農業経営の第三者継承を考えるシンポジウム」(主催:北海道農業公社)のパネルディスカッションの内容を資料化した。
本調査事業は、道農政部食の安全推進局食品政策課からの委託を受けて実施したものであり、北海道の農業分野における六次産業化の実態を把握することにより、今後の六次産業化の推進に資することを目的に企画されたものである。具体的には、道内で六次産業化に取り組む事業者を対象にした現状調査及び分析に基づき、農業の六次産業化を進めるうえでの課題や今後の施策等に関する要望等を整理することが主要な目標である。併せて、生産者や農業機関、団体等に対して調査結果の概要を提示するとともに、新規に事業に取り組む場合の課題等について討論を通じて明らかにすることも目的としている。
最初に、道内において六次産業化に取り組む事業者に対するアンケート調査を実施し、約220事業者から回答を得た。そのうち40の事業者には現地聞き取り調査も実施した。これらの結果に基づき、「直売・産直」「加工・販売」「ファームイン」」「ファームレストラン」「観光農園」「農業体験」等のジャンル分けを行い、考察を加えた。また、国・道の六次産業化に対する取り組み説明、本事業で実施したアンケート結果の概要報告、六次産業化取組事業者からの事例報告、討論等を行う小規模セミナーを中頓別町、北斗市、網走市の3か所で開催した。