本研究では、営農計画の策定過程から組合員勘定(クミカン)制度の利活用の実態、生産者の評価等を整理することを通して、農業経営の安定的発展に向けた取り組みとJAの支援体制の整備について提言することを課題とした。
調査の委託元との意見交換を踏まえて、本研究では調査対象をJAに限定することとした。経営分析、営農指導の積極的かつ恒常的な取り組み状況等を参考に、1)水田地帯はJAいわみざわ・JAきたそらち・JA北ひびき、2)畑作地帯はJA鹿追町・JAきたみらい・JAこしみず・JAオホーツク網走、3)酪農地帯はJAひろお・JA道東あさひを対象として調査を行った。
本調査研究では、機械化収穫体系が整っていないカボチャ、レタス、ブロッコリー等の野菜の中で、特に面積減少が著しいカボチャを中心に調査研究を取り進めた。具体的には、カボチャの主要産地並びに近年生産が拡大しつつある産地の農協への聞き取り調査を行うとともに、研究機関への聞き取り調査を行い、カボチャ生産・販売の現状と課題を整理し、カボチャ生産での導入が期待される収穫作業の軽減を図る茎葉処理機について、その導入可能性について言及し、現地での普及に向けた実践方法についての示唆を与えることを課題とした。
本調査研究は、JAが実施する無料職業紹介事業に着目し、その運用実態と課題、並びに運用に際して連合会に求められる役割を整理することで、労働力不足解消に向けた取り組みに資することを目的として実施した。
その結果、道内の労働力不足を解消するために実施されている無料職業紹介事業は一定の成果を上げていると評価できるものの、さらなる労働力不足の解消に寄与するため、1)説明会等の開催による潜在的な農作業ヘルパーの担い手の掘り起し、2)農作業ヘルパー確保のための効果的な求職者募集方法の実践、3)農協間の広域連携による効率化と補完効果の発揮、4)行政組織や高齢者事業等他組織との連携、による体制強化が必要であると指摘した。加えて、これらの体制強化について、広域での取り組みや単協間での労働者交流に対する調整機能としての役割、さらには、説明会の開催や広告・情宣方法に対するノウハウの提供や先進事例の紹介、各種の支援策の実施等、連合会が果たすべき役割は非常に大きいと思われることを指摘した。
本調査研究では、農業で起こりうる潜在的なリスクに関する調査を行い、リスク管理体制やリスクの発生状況、発生時の補償状況やその対応策を整理し、農協・連合会に求められるサポート体制についての示唆を与えることを課題として取り進めた。
その結果、担い手・法人経営における「リスク」の所在は、地域性や経営の個別性に規定されて、保険や保障に対するニーズは一様ではないことが確認された。また、JA共済の基本線は「ヒト・イエ・クルマ」であり、ここに農業リスク診断活動をうまく接合させていくことが課題であると指摘できる。その方策として、今回の調査事例で経営形態・地域を問わずに共通したニーズと思われる「第三者賠償(賠償リスク)」をターゲットに置くことが考えられる点や、六次産業化に取り組む法人のニーズ把握、酪農経営の実態に合った商品の必要性について指摘した。
本調査研究は主食用米流通において大きなウェイトを占めるに至った業務用米について、その需給実態やニーズの変化、そして今後の動向を調査把握することにより、これからの米の生産・販売の資となることを期して実施した。
2カ年の調査研究業務の最終年に当たる今年度は、産地における業務用米への対応として、道内JA並びに福島、新潟、宮城における業務用米への取り組みを調査し、前年度実施した流通実態に関する調査結果と合わせて、業務用米の生産・流通・消費の特徴を明らかにし、今後の業務用米の方向性について考察を行い、最終報告書を取りまとめた。
本研究は、ホクレン・道総研十勝農業試験場との共同研究事業で、欧州製除土積込機の導入・実証試験により、土壌病害蔓延防止のための効果的・効率的なてん菜輸送体系の確立を目指している。3ヶ年目となる本年度は、遊離土砂の発生実態と専用堆積場利用の現地調査を行い、除土積込機による遊離土発生軽減効果と有効性について考察し、他研究機関とともに報告書に取りまとめた。
次年度は、これまでに得られた研究成果・調査データに基づき輸送効率低下を抑制するための方策を整理し、普及に向けた除土積込機運用マニュアルを作成する。
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てん菜は地域農業・地域社会・地域経済を支える重要な作物であり、圃場の地力維持のため輪作体系上欠くことのできない基幹作物であるが、耕作者の戸数の減少等により作付面積の維持確保が困難な状況となってきており、様々な場面で種々の取り組みがなされている。特にてん菜の栽培においては、育苗作業等多労・過重作業が多く、このことがてん菜作付面積減少に一層拍車をかけていることが考えられる。
これまで平成27年度より3ヶ年に渡り、てん菜作付の労働力確保に向けた取り組みに関する調査を実施し、てん菜作付面積の減少の主要因として、「作付戸数の減少」「担い手の高齢化」「労働力不足」「手取額低落」等を明らかにし、てん菜栽培における作業支援体制等具体的な取り組み内容の詳細を調査し、加えて新規就農・農業従事に関する意向調査等労働力確保対策のための各種情報収集を行った。本年度はてん菜作付の労働力確保に向けた取り組みや新規作付の代表的な事例を中心に調査し、今後の円滑な労働力確保対策に活用できるよう取りまとめた。
本研究事業の目的は、農業への新規参入者の多い九州ブロックを対象に、関係機関における新規参入支援の体制や新規参入者の研修・就農経緯に関する調査を通して、北海道における新規参入支援に資することである。具体的な調査として、九州の全7県(福岡・佐賀・大分・宮崎・熊本・鹿児島・長崎)の県庁・県農業会議・市町村等で機関調査を行った。その際、府県の農業担い手確保の取り組みや、研修生の募集方法等について特に聞き取りを行った。
加えて、機関調査から得た情報を基に3県(大分・宮崎・鹿児島)を選定し、新規参入の個別事例に関する調査を行った。その際に、就農に至る経緯、研修の内容に注目し、各種支援団体の活動が持つ意味について考察した。
これらの内容について、平成31年3月初旬に最終報告会を開催し、3月上旬に報告書を提出して業務を完了した。
本研究事業の目的は、職員採用及び職員定着に関して先進的な取り組みを行うJAの実態調査を通して、JA職員の一層の職場定着化に向けた提言を行うことである。
JAカレッジでは、JA段階の学習・教育・研修活動の実態把握とJAカレッジの位置づけや評価等の検証を行うために、ここ数年、JA教育実態調査を実施してきた。平成30年度は、前年度までの研究から、JA職員定着に向けた更なる調査が必要との認識から、平成29年度の調査研究の深堀をする方向で実施した。具体的には、職員採用や就労環境の改善、職員の育成等に積極的かつ恒常的に取り組む道内JAの中から、1)空知管内の水田地帯の合併JA(JAピンネ)、2)新規参入者の多い酪農専業地帯の未合併JA(JA中春別)、3)水田・野菜・酪農・畑作等作目が多様な広域合併JA(JA新はこだて)を調査候補とし、当該JAの了解を得て調査JAに選定した。あわせて、カレッジの教育方針・JA北海道中央会の実施したJA職員採用活動の取組み概要調査の結果も加え、JA職員の職場定着に向けての提言をまとめた。
本研究では、豆類価格安定対策事業における価格差補てん事業の基本価格の算定式の変更による事業効果の検討とともに、生産者への聞き取り調査を実施することで、道産雑豆の安定供給の確保に関する示唆を与えることを課題とした。
その結果、京都府で実施されている豆類価格差補てん事業に関する聞き取り調査により、算定式がシンプルであることのメリットを示唆した。さらに、主要産地である十勝地域の生産者への聞き取り調査を行い、1)輪作の形成・維持が経営の最重要事項となっている、2)輪作における豆類の選択では、小豆、金時、手亡といった雑豆類によって構成されているが、その中心は基本的には小豆である、3)その中で、金時・手亡の生産安定のためには、金時における種子の高価格と色流れ対策、手亡においては技術普及体制の整備及び、金時・手亡価格の最低基準の保障が必要である点を指摘した。
また、価格差補てん事業における基本価格について検討し、価格差補てん事業は、供給の安定化に重点を置く必要があり、価格差補てん事業、保管事業の果たす役割は、今まで以上に求められているといえる。それゆえ、今後、価格差補てん事業における基本価格の算定式は、流通環境の変化に応じて、柔軟に利用することが望ましいと考えられることを示唆した。
JAおとふけが平成30年12月に実施した、「スマート農業に関する調査」及び「堆肥の利活用及びコントラクター事業に係るアンケート調査」の結果について、内容を詳細に分析し、報告書に取りまとめた。
※ 未登録