JAグループ北海道は第29回JA北海道大会において「JAがあるから安心して営農できる」並びに、「JAがあるから安心して生活できる」という生涯満足の事業運営に取組むことを決議した。
そこで、本調査研究では、生涯満足の事業運営の進展に資するため、道内外の先進的なJAの取組みに対する事例調査と情報収集を行った。そして、国民等のニーズに関する年代別の特色を整理し、それらを基に、ライフステージ等に応じたJAの事業・サービス・地域貢献活動のあり方、JA中央会・連合会の役割と支援方策、行政・関係機関との連携のあり方等を明らかにし、生涯満足の事業運営を進展させるための提言を行うことを目指した。
複数戸法人は、全道で3,179経営体(2015年センサス)を数え、その農地面積は約8%のシェアを占め(2010年センサス)、地域の担い手として不可欠な存在となっている。
これまで法人設立は、負債問題解決(水田地帯)、フリーストール等の施設投資及び新技術への対応(酪農)等、時々の経営課題への対応を契機とし、あわせて担い手不足や後継者確保への対応を目的としてきた。しかし、年数が経過する中で、負債問題や新技術対応は解決したものの、通年雇用の条件や従業員から経営者への育成の難しさ等から、後継者確保や経営継承について成功したところは少ない。
そこで本研究では、JA及び法人に対するアンケート調査を通して、法人設立や経営に対するJAの支援の状況を把握するとともに、法人の後継者確保や経営継承に関する問題を解決したコントラクターを含む、道内外の複数戸法人の先進事例について調査を行い、冬季も含めた通年雇用方策等を検討し、今後のJAの連携・支援方策を明らかにすることを目的とした。
農業現場での労働力確保は全国的にも喫緊の課題である。更なる農業分野での労働力を担う人材の確保・定着を図るうえで、一般の人々のニーズや考えを把握し、今後の事業展開の参考にすることは重要な意義がある。そこで本研究では、一般の求職者や潜在的に働きたいと考えている層のうち、特に男性シルバー層及び女性主婦層に対する、農業アルバイトに関するマインド調査(アンケート調査)を通して、農業労働力の掘り起こしのための基礎資料作成を行った。
農業分野での労働に関する意識を知るために、アンケートでは1)農業分野の仕事(短期間・短時間労働)の情報の入手方法、2)農業分野の仕事の認知度・理解度、3)農業分野の仕事に期待することの3点を重視し、集計・分析を行った。
本調査研究は、ホクレン農業総合研究所が開発し、平成11年に品種登録された「春よ恋」を例として、新品種が地域の農業生産・振興や農業所得に及ぼす影響を調査研究し、「品種」の重要性を明らかにするとともに、今後の品種に対する要望を集約・分析し、今後の中長期的な育種戦略検討の資とすることを目的として実施した。
産地調査については、「春よ恋」の主産地として、石狩管内の1農協、上川管内の1農協、及びオホーツク管内の2農協において聞き取り調査を行った。また、実需者調査としては、製粉会社5社への聞き取り調査を行った。更に、リテールベーカリー3店舗への聞き取り調査を行った。
現在の日本の農業現場においては農業作業者の高齢化や労働力の減少が進み、その対応策の一つとしてICTの利用による課題解決が進められている。「スマート農業」の名の下、様々なIT機器・先端技術の農業現場への導入が行われつつある。ロボットトラクターとともに「スマート農業」を象徴する機器であるドローンについても、この数年で急速に農業分野への導入が進み、現在は産業分野でのドローン利用の大きな部分を占めるに至っており、今後もその利活用が進むことが予測されている。
本研究事業では、農業分野以外も含めた産業分野全体でのドローンの利活用の進展を概観するとともに、農業分野では農薬散布、肥料散布、播種、受粉、農産物等運搬、圃場センシング、鳥獣被害対策という、今後ドローンの利用が進展すると予想される7つの場面について現状、課題、将来展望等を調査し取りまとめた。
「革新的技術開発・緊急展開事業」(事業実施主体:農研機構 生研支援センター)採択課題である「土壌病害蔓延防止のための効果的・効率的なてん菜輸送体系の確立」はホクレンてん菜事業本部、道立総合研究機構十勝農業試験場、北海道地域農業研究所の3者によるコンソーシアムで4年間取り組んだ事業であり、原料てん菜の搬出と同時に除土を行う除土積込機の導入による遊離土砂の移動の抑制、農家への返還土砂の廃止を目指す新たなてん菜輸送体系の確立を目的とした。本事業において当研究所は土質、出荷時期、堆積場所と遊離土砂量の関係の解明、及び除土積込機と堆積場所の組み合わせによる遊離土砂抑制効果の確認を行なった。
本年度は、これまでの結果をまとめた「最終報告書」並びに「除土積込機運用マニュアル」を作成して委託者へ提出し、4年間にわたる本事業を終了した。なお、本事業により明らかとなった成果の一部は、研究課題名「定置式除土積込機を用いたてん菜輸送体系の能率と経済性」(担当機関:十勝農試、共同研究機関:ホクレン、地域農研)として、北海道農業試験会議において指導参考事項に採択された。
※ 未登録
本研究事業の目的は、農業への新規参入者の多い北陸ブロックを対象に、関係機関における新規参入支援の体制や新規参入者の研修・就農経緯に関する調査を通して、北海道における新規参入支援に資することである。具体的な調査としては、前年度の九州調査にならい北陸の全4県(新潟・富山・石川・福井)の県・県農業会議・市町村等で機関調査を行った。その際、府県の農業担い手確保の取り組みや研修生の募集方法等について、特に聞き取りを行った。
加えて、機関調査から得た情報をもとに新規参入の個別事例に関する調査を行った。その際に、就農に至る経緯、研修の内容に注目し、各種支援団体の活動が持つ意味について考察した。
これらの内容について令和2年3月初旬に最終報告会を開催し、3月上旬に報告書を提出して業務を完了した。
昭和45年6月に創立した「公益財団法人 北海道農業公社」(以下「公社」という。)は、令和2年度に50周年の節目を迎える。これを記念して公社では50年史を刊行することにしており、その編纂業務を支援した。
公社が作成した「公社の発足と組織の変遷」「公社事業の50年間の動向(事業別)」「財務概況」の原稿の修正作業や校正、本文中に挿入する各事業の実施事例や新規就農事例の編集、年表の加筆・修正の作業を行い、修正・編集した原稿をその都度提出し、3月に業務を終了した。
※ 未登録
北海道では、育成時点における品種の特性をそのまま備えているとともに良質な種子を供給することで、北海道米の安全・安心を担保してきた。水稲種子の生産は、防除の徹底や異品種混入防止の徹底等、一般米の生産以上に厳格な管理が求められている。現在、道内の水稲採種組合は良質な種子の供給に努めているところであるが、水稲種子の経済データは平成9年に行われたのを最後に約20年間実施されていない。このため水稲種子の生産支援体制の検討に資するために、ホクレンからの委託事業として、全道の水稲採種組合を対象に経済データに関する調査を令和元年度~令和2年度の2ヵ年で実施することとした。
本調査研究ではうるち米・もち米の水稲種子生産委託7地区を調査対象とし、各地区あたり3戸について調査を実施する。令和元年度はそのうち4地区について、聞き取りにより農業統計調査に準拠した形で水稲種子生産に関わる各種項目のデータを収集・解析し、中間報告とした。
※ 未登録
JAグループ北海道が決議した「次代につながる協同組合の価値と実践」の一環で、系統組織の新たな事業展開に向けて、関連分野においてサービス事業を開始・運営している事業体について、その事業内容と運営実態を明らかにし、調査内容を報告書に取りまとめた。
てん菜は地域農業・地域社会・地域経済を支える重要な作物であり、圃場の地力維持のため輪作体系上欠くことのできない基幹作物であるが、耕作者の減少により作付面積の維持確保が困難な状況となってきており、様々な場面で種々の取り組みがされている。
てん菜の作付を支える労働力の確保については重要な課題であるが、平成31年4月に新たな在留資格「特定技能」が創設され、従来からの技能実習制度と合わせて、外国人材を活用した取り組みとして注目されている。そこで、従来からの「技能実習制度」と「特定技能制度」の違いが、正確かつわかりやすく理解できるように、関連法令、閣議決定文書、省庁が発行する資料並びに既往の研究成果等から引用して解説を行った。
また、技能実習制度、国家戦略特別区域内における農業支援外国人受入事業(以下「特区制度」という)並びに特定技能制度の下で、農業分野で外国人材を活用する現場の状況や課題等を明らかにするために、全国規模の人材派遣会社1社2事業所、B県農業協同組合中央会・B県農業協同組合、及び北海道内の農業生産法人1法人への聞き取り調査を行った。
更に、てん菜の生産基盤の維持に向けた取り組みとして、農業生産工程管理に着目し、てん菜のJGAP認証を取得した農業生産法人1農場と1個別経営体への聞き取り調査を行った。