追分町の農業は、早くからメロン栽培に取り組み、生産者の努力の結果「アサヒメロン」のブランドで札幌市場を中心に販売され、市場の評価も高く、農協の販売取扱高の40%を占めており、このことが1戸当たりの農業所得を高め、胆振管内でも高水準に位置している。しかし、近年追分町農業は停滞傾向にあることから、この打開策として今回の振興計画に取り組んだ。
追分町農業の平均耕作面積は11.2haで、今後農地の開発もなく、また長沼町、由仁町など近隣町村からの入り作による浸食が激しく、町外者の所有農地面積は追分町の1/3にあたる680haにも達している。このことから規模拡大による展望には限界があり、おのずから野菜・花き等の高収益作物の振興による農業発展の方向を見出そうとするものである。
渡島南西部は北海道の中でも最も開拓の歴史が古く、知内町の歴史も鎌倉時代に遡ることができるが、渡島・檜山管内を中心とした道南農業に対するイメージは、いわゆる「先発停滞・後退」地域として定着している。知内町農業にもその傾向が現れていることは否めないが、地域の産業の柱として、今後の知内農業発展の打開方向を展望し、「農業発展ビジョン」として提案した。
農業発展ビジョンの策定にあたっては、「ゆたか」で「ゆとり」と「うるおい」のある農業・農村をつくりあげるため、3つの柱を立てた。第1の柱は、農業で人並み以上に食べていけるという意味の「ゆたかさ」を追求するために、農家の経営類型に対応した地域支援システム確立構想を提示した。第2の柱は、農村生活に「ゆとり」と「うるおい」を実現するためのビジョンであり、農村婦人の個の確立、消費者との交流、町内融和と地域食文化確立を核にしている。第3の柱は、第1のビジョンと第2のビジョンが統合されることによって、その相乗効果によってより一層効果的な農業・農村の発展が約束される「農業コンビナートビジョン」として提示される。この農業コンビナートビジョンは、莫大な公共投資を必要とするので、渡島南西部の4町村が総力を挙げて取り組まなければならないビジョンになっている。
林業や鉱業などの歴史を引き継ぐ東紋西部地域は、網走支庁管内においては畑作を中心とした北見・斜網地区よりも畑作物の反収が低く、酪農を中心とした西紋地区よりも酪農は小規模であり、地形的に不利な条件の下で担い手不足問題が顕在化している地域である。とりわけ生田原町は農業専従者1人あたりの生産農業所得が、平成3年の数値で網走管内で最も小さく、東紋西部地区の典型的な地域となっている。
平成6年度から始まる新しい振興計画を樹立することを目的に、平成5年6月から事業が開始し12月には最終報告会を実施するという極めて短期間の事業となったが、現地との協力でほぼ100%近い回収率のアンケートとおよそ30戸の農家調査を行い、農業生産と地域組織のあり方についての問題状況を整理して課題を提示した。
美深町農業は歴史的にみると、畑作→稲作→酪農の順で形成され、畑作の限界を克服する形で稲作が登場し、稲作の崩壊の中から酪農が誕生した。そしてこの酪農の展開の延長線上に肉牛が登場してきた。そして現在の美深町農業は、高齢農家の急増と後継者の不在によってふたたび経営の再編が迫られている。
以上の問題意識に基づき、具体的な土地利用計画の策定、農地の団地的集積、営農集団の育成指導等に関する提案を行うとともに、現在計画中の「農業活性化センター」について先進地事例紹介も織り込みながら報告書として取りまとめ、委託者に提出して業務を完了した。
農協から農家まで最高50kmにもおよぶ3つの奥深い沢に沿って農家が点在する白糠町は、かつては「白糠ゴボー」の銘柄ももつ野菜産地として、また軍馬補充部時代からの馬産地として、長い歴史を引き継いだ酪農専業地域である。平坦部の狭隘さは規模拡大を制約し、1戸当たりの経営面積や頭数規模は極めて小さく、大規模酪農専業地帯である根釧の中で強い独自性を示してきた。
しかし、乳検の年間1頭当たり乳量は昭和59年の最下位から平成3年の2位へと、近年急速に高泌乳化が進んだ。その反面農家所得の伸びは多農協と比べて極めて低位に終わっている。急速な高泌乳化は充分にコストを低下させず、したがって所得も十分に増大させず、さらに一層の増産を志向させるという悪循環の状態にある。これまで多頭化が比較的緩慢であったため多頭化を志向する農家は多く、負債の返済不能な農家の多くは一層の増産を志向する傾向にあるため、悪循環をさらに繰り返す危険性は大きい。この悪循環から抜け出し、所得の増大と労働にゆとりを作り出し、農家減少を食い止め、累積負債を返済するための転換方向を見出すことが白糠農業の緊急な課題である。その場合、町内農家の所得率等の経営効率の格差は極めて大きく、技術水準の高位平準化が所得増大と労働時間の減少に大きな意味があるといえる。
本研究はそうした問題意識に基づき、個別経済データやアンケートなどの大量集計と50戸程度の農家聞き取り調査を基に現状分析を行い、今後の方向性について提言を行った。
静内町は、軽種馬の大産地であり、町農業粗生産額に占めるその割合は80%を超える。それだけでなく、町内の一部には、稲作・野菜を基幹とする地域も存在し、農業構造の様相は地域ごとにかなり異なっている。これらの点を踏まえ、共同研究では、軽種馬部門だけに特化するのではなく、主要農業部門すべてを網羅した総合的な農業振興計画の樹立を目指している。
当共同研究では、農業振興計画を策定するにあたり、以下3つの課題を設定した。ひとつは町農業の基幹である軽種馬部門の今後の経営方向を明らかにすることである。二つ目は、軽種馬以外の部門における今後の経営方向を明らかにすることである。三つめは、静内町農業の抱える問題点を明らかにし、その解決策を探ることである。
以上の課題を検討したうえで、平成7年度からの農業振興計画を策定していく。昨年度は、7月にアンケート調査、9月初旬に農家調査を実施し、これら調査結果を踏まえ1月中旬に現地中間報告会を開催した。本年度は、補足調査を実施したうえで8月ころまでに最終案を報告し、農業振興計画の樹立につなげていく予定である。
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