支援業務の対象となる「遠軽ブロック」では、管内5JA(佐呂間町、湧別町、えんゆう、生田原町、丸瀬布町)の広域合併を検討しており、合併後の新生JAの農業振興計画の策定、すなわち「遠軽ブロック広域農業振興の方向と実現の道筋」を立案することが本業務の目的である。
具体的振興計画として1)遠軽管内地域農業の現状分析と将来予測・課題の整理、2)遠軽管内農業振興骨子の整理、3)遠軽管内農業振興方向の整理、4)遠軽管内農業振興に向けた取組課題の整理(提言)の4つの研究課題があり、前年度は上記計画のうち1)・2)を中心に報告をまとめ、「JA合併検討委員会」に答申し、検討委員会で了承された。
本年度は「取組課題の整理(提言)」を重点として、調査研究に取り組んだ。具体的方法としては、農協側の作業グループである営農販売部会を営農・農産・酪農畜産の3班に分け、「取組課題整理票」の様式を農協に送付、農協では振興方策毎に取組課題を記入し、研究班と農協とで整理票をやりとりしながら作業を進めた。
これまで美瑛町農協が手掛けてきた第1次から第6次までの地域農業振興計画(5ヵ年計画)は、一貫して組合員農家が自立するための経営改善方策の提示と、そのための地域支援のあり方について検討したものであった。
しかしながら、WTO体制へ移行してからの農業を取り巻く環境は著しく変化している。これまで政府は農産物価格の維持及び輸入障壁の構築により、わが国の農業を安定させるためのセーフティ・ネットを張って農業を保護してきたが、そのセーフティ・ネットがWTO体制への移行に伴い次第に外されていっている。そのため、これからの農協は弱肉強食の市場経済と正面から向き合い、組合員農家の団結によって血路を切り開かなければならなくなってきている。まさに農協組織の抜本的改革が迫られている。
そのため、第7次の中期5ヵ年計画の策定にあたっては、農家の全戸アンケート調査とともにこれまでの中期6次計画の部門における徹底的な検証とそれに基づく改善計画を現場から抽出するという、かつてない手法を取り入れた。農協改革のためには、まず現状の農業経営においてどのような問題が発生し、またどのような新しい動きが生まれつつあるのかを明らかにしなければならないからである。そして、まずは農協改革を率先して実施し、しかる後に美瑛町農業の生き残りを組合員農家に呼びかけるものでなければならないからである。
この調査内容と提言については「美瑛町農協農業振興計画第7次計画策定のための報告書」としてまとめ、現地検討会を踏まえて業務を完了した。