生産物にこだわりを持つ農家にとって、味や安全性等の特性が系統一元出荷では評価基準とならない不満がある。実需者の生の反応や価格決定への参画、消費者との直結による差別化販売を求めて、道内生産者の産直取り組みが活発化している。「顔の見える」産直の拡大は消費者と生産者を価格決定の主役として活性化させるが、流通業務の負担が大きく、目標とする消費者との交流活動が充実できない、天候や市況変動に左右される消費者ニーズに対応しうる供給体制を整備するには採算が取れない等が問題となっている。工場生産とは違う非効率性への消費者の理解を求め、農家の手出しに終わらない産直へ転換していく必要がある。全般に農協は多様な取り組みへの対応には消極的と言われ、多様な流通に取り組む先進的な経営が系統離れを起こす事例がある一方で、地域ぐるみの産直事業で活性化しているところもある。個別対応では限界のある流通の効率化や産消交流のソフト事業等へ、農協・行政をはじめとする地域組織の積極的な関与が求めらえている。
そこで、需給調整問題が現れやすい青果物を対象に取り上げ、産・消の交流に基づく信頼関係を軸に成り立つ産直について、産直の取り組みを継続するための条件と農協・行政等地域組織の役割、産地全体の取り組みのあり方をテーマに、平成10~11年度の2年間、道立中央農試と共同研究を実施することとなった。本年度は、1)道農政部が実施した道内の産直販売事例を基にした類型別特徴の整理、2)野菜の産消交流型産直事例の調査を行った。平成11年度は、引き続き産直継続事例の詳細調査を行うとともに。消費者の求める交流産直への産地対応のあり方を分析し、報告書として取りまとめる予定である。
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現在、北海道農業を取り巻く環境は、言うまでもなく内外ともに厳しい。そして、このような環境下ではじっとして雪解けの春を待つ方が良いとの意見もある。事実「ゆとり農業」を提唱する学者もいるし、農業経済の様々な研究報告を見ても、経営的には一定の限界値が存在してそれ以上の規模拡大は逆に経営的にメリットが出ないという結論の論文も数多い。
しかし、本当に北海道の農家経営規模は限界に達しているのだろうか。本研究ではこうした問題意識に基づき、2年間の研究によって北海道の作物別大規模経営の実態を調査し、大規模経営を実現させる条件を検討する。また、農家が抱えている課題を整理することによって、次のステップを切るための必要項目の抽出を試みる。なお、本年は主に現在開発されている先導的農業技術を経営の視点から分析し、課題と展望については次年度取り組む予定である。
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