該当地区はかつて山林原野であったが、1984年ころ土地の所有者が温泉掘削に成功したことから、施設園芸を行う意図をもって、約20haを台地型に造成してハウス2棟を建て、温泉熱を利用して野菜と下記の水耕栽培試験に着手した。2年間試験を実施した後、理由は明確ではないが試験を中止し、爾後、土地は放置されて現在に至っている。現在、土地は荒れ地として放置されたままで、樹齢10~20年のカバ、ナラ、ヤナギ、ニセアカシアなどの雑木や、ササ、カヤ、ススキ、ヨモギ、スギナなどの野草が自生している。
今回の調査の目的は、該当地区において温泉熱を利用した野菜、花き栽培の可能性、及び醸造用ぶどう栽培の可能性を検討することである。当研究所では、気象条件、融雪時期、土壌診断、周辺農家の雇用労働状況等を調査し、その結果に基づいて総合的な診断を行った。
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昨年度のアンケート調査から、てん菜作付農家は1)十勝地区の畑作専業地帯における基幹作物としてのてん菜栽培、2)網走地区における基幹作物としてのてん菜栽培、3)道央・道南地区における転作作物としてのてん菜栽培、4)根釧・天北地区における酪農との複合経営におけるてん菜栽培の4類型に分類できる。
今年度の調査は、これらの類型が成立した背景条件について、実際に農家を訪問しての聞き取り調査が主体となった。今後調査の最終年次に向けて更に具体的な条件が整理できれば、今後のてん菜栽培振興の指針としたい。
平成11年に「家畜排せつ物管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行されたことにより、北海道の酪農経営に大きな転機が訪れた。それまで、1960年代以降一貫して進められてきた、飼養頭数と搾乳量増加を目指す無制限な規模拡大路線に対し、黄信号が点灯された。これまでは、経営の目標を規模拡大による所得向上に置いて努力を傾注してきた結果、確かに一定の効果をあげてきたが、反面、大型施設化や購入飼料への極度の依存度増大など、生産構造が大きな変化を遂げている。その結果、大量の家畜ふん尿が不適切な処理のまま放置されたり、廃棄される事態をもたらし、水質汚染など環境に重大な影響を及ぼす事態に陥っている。ふん尿新法は酪農家にふん尿の適切な処理と有効な利用を義務付けており、酪農家が所得向上のみを経営目的とすることを許さず、同時に適切な環境対策を講じるべきことを要求している。
本調査では、酪農家が適正なふん尿処理行動を行うために、行政機関や農協がどのような行動をとるべきか、その役割を検討している。本年度においては、道内の代表的な酪農専業地帯である根釧管内の4市町村、及び酪農・畑作地帯である網走管内の3市町村を対象として、家畜ふん尿処理の現状、及び自治体や農協の取り組みに関する聞き取り調査を実施した。
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