3ヵ年で取り組んでいる本調査も最終のまとめとなった。この間の北海道農業はまさに劇的な変化を経験したが、その中にあって、てん菜は相対的にではあるが安定した価格と受給情勢にあるといえる。このことは農家経済にとって、てん菜は輪作体系の一翼を担い、農業経営の柱としてますます重要な作物と位置づけしなければならないことを意味する。
一昨年のアンケート調査、また昨年、今年度の実態調査からそのことが確認できただけでなく、稲作転換作物として、また酪農地帯においても主力作物として、改めててん菜を重点作物として位置づけする農家が増えていること、その中に着実に直播を指向する農家が出てきていることが確認された。また本調査の力点は省力化を目指した直播栽培の可能性に軸足を置いていたが、図らずも全自動移植機の能力の高さを浮き彫りとするものとなった。
当研究所は平成2年の創立から今日まで、地域農業及び産業の発展に寄与するシンクタンクとして産・学・官を結集した協力体制のもとに、市町村・JA等の会員に対し叢書、報告書、機関誌、年報等多くの情報を提供してきた。しかし、より一層、会員の負託に応えるため、昨年の9月から10月末にかけ市町村・JAを対象とした「情報ニーズに関する意向調査」を実施した。
情報ニーズの集計結果は極めて多数・多岐にわたっているが、一つには回答された内容のほとんどは本来、行政機関・農業団体が指導的立場でそれぞれ情報提供すべき性格のものであること、また、研究所が自主研究として全ての調査研究を行うことは運営上困難であること等を踏まえ、研究所としての対応は次の通りとした。
1) 受託研究事業としての取り組み
ニーズの緊急性、重要性等を勘案しテーマを選定の上、当研究所が関連機関・団体に働きかけて受託事業として取り組み、調査研究の成果は随時「研究叢書」、「機関誌」あるいは「地域研究年報」を利用し情報提供する。
2) 自主研究としての取り組み
1)と同様な選定基準で、概ね2~3年で1~2点程度を自主研究(当研究所が独自に調査研究)として取り組み、情報を会員に提供する。
3) 共同研究事業としての取り組み
地域農業分析あるいは農業振興計画樹立等のニーズについては、市町村、JAとの共同研究事業として取り組みする。
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