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平成3年度(1991年度)

(1) 「農協問題に関する研究会」

概要

 平成3年5月の第1回研究会では、北大農学部教授・太田原氏より「農協合併都心総合農協」と題して話題提供が行われた。この中で大田原氏は、最近全国的に農協合併が進められているが、この農協合併の方法として大きく、1)金融を中心とした合理化が他の合併、2)販売中心の産地形成型の合併の2つの潮流があることを指摘した。これに対する研究会での討論の要旨は、1)北海道での合併は食料基地として位置付けられており、また専業率が高いことから金融型よりも産地形成型を中心に検討する必要があること、2)領域の問題では道路網・交通網の発達で農畜産物の輸送問題を検討する必要があること、3)むやみに合併に結び付けず産地形成を考える都合上農協間協同の方向も検討すべき必要があること等の意見が出された。
 8月の第2回研究会では、第1報告としてとうや湖農協組合長・大野氏から「広域合併推進の背景を省みて」と題し、広域農協合併の条件として1)役職員の意識改革、2)営農指導強化を中心にした組合員への説得、3)旧農協重視(小さな本所、大きな支所)を前提にした町村長への理解等が必要であることの指摘があった。また合併後の運営にあたっては、事業効率化のためのコンピュータ化、農協運営への青年婦人部の参加、不良債権の整理等を心掛けていることが報告された。また、第2報告として北大農学部助教授・坂下氏より「とうや湖農協の合併メリット」と題し、とうや湖農協の特徴として豊浦の畜産、虻田の豆、洞爺の野菜等、販売中心の事業運営がなされており、合併メリットについては、短期的には役員減による人件費の削減、手数料率の低下、販売物の増加による系統からの割戻増、長期的には負債の整理、内部運転資金の効率的運用、販売の一元化などが指摘された。
 12月の第3回定例研究会では、滋賀県立短大助教授・増田氏より、現在全国的に進められている農協合併の背景として、1)離農の進展と大型専業農家の出現によって農協組合員の同質性が崩れてきたこと、2)信用事業の自由化によって農協の収益性が低下してきていること、3)購買事業面での環境変化、4)購買事業面での環境変化という4つの要因により、農業の構造変化が起こっているということが指摘された。また、全国的に合併農協では、1)本所への営農指導員の集中と専門家によって効率化は進んだが農協と農家との距離が広がったこと、2)行政との関係で合併によって町から農協への補助金が出しずらくなるという農業政策と農協事業との矛盾が起きていること、3)職員の賃金を高いところに合わせることや手数料を低い方に揃えるなどから合併後の収益性が一般的に下がっているという問題が起きていることが指摘された。

報告書等

※ 未登録

(2) 「生産構造に関する研究会」

概要

 平成3年6月の第1回定例研究会では、北大農学部教授・七戸氏より本研究会に参加する際の会としての姿勢と、テーマである北海道の農業生産構造問題へのまなざしについて話題提供がなされた。
 10月の第2回定例研究会では、まず「畑作地帯における近年の動向」と題して北大農学部大学院・原田氏より1980年・1990年のセンサスに基づいた十勝と網走の比較について報告があった。また、「借地型規模拡大経営の生産構造」と題し、道立十勝農試の西村氏より、十勝の代表的な地区である更別村の調査に基づいた畑作の動向について報告があった。
 平成4年2月の第3回研究会では、当研究所・吉野専任研究員より「酪農における新技術の導入に関する諸問題―ミルキングパーラー・フリーストールの導入をめぐって―」、酪農学園大学助教授・市川氏より「酪農における新規参入の現状と課題」、道立中央農試経営部長・長尾氏より「酪農地帯の農業活性化―浜中町と標茶町を事例として―」と題した話題提供が行われた。

報告書等

※ 未登録

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