農業者の自主的な研究会はこれまで各地で数多く設立されてきた。その中には地域農業に積極的な影響をもたらした例も少なくない。研究会活動は農業技術の普及や経営改善を進めるためのオーソドックスな手法であったといってよいと考えられる。
しかし、情報の伝達ルートが狭かった時代に比べ、今日では地域を基盤とする研究会活動を行うことは次第に難しくなってきている。農業経営活動の個性化、情報ソースの多元化といった傾向の中で、研究会活動に対する関心は低下している。
その一方、最近目覚ましい成果を挙げている研究会がある。美瑛の水稲直播研究会、別海のマイペース酪農研究会、美瑛の北瑛パーク堆肥生産組合等がそれであるが、それぞれに従来の栽培試験や簿記記帳を中心とする研究会と異なる特徴をもっている。
本研究会においては、第1にこれら研究会の足取りと現状を分析することによって、研究会活動が地域農業や個別経営に対してどのような意味を持つかを明らかにし、その上で、地域に基盤を置く研究会活動の現代的な意味を明らかにする。第2に、研究会の設立や運営についての検討を通じ、他地域において研究会津堂を活性化する上での知見を得ることとする。
本研究会の実施期間は本年度から3年間であり、本年度は設立準備検討会のほか、上述の一部について現地研究者から研究成果を聴取した。
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本研究の目的は、これまで31ヵ所で取り組んできた「共同研究」を総括しながら、その性格、受託方法、研究体制等の今後のあり方や方向性について検討することにある。西暦2000年(平成12年)は、1000年に一度の節目であると同時に、本研究所にとっても設立10周年目となる節目の年にあたり、これまでの「共同研究」の取り組みを総括的に振り返る絶好の機会であるといえる。また、他方で、農業・農村を取り巻く環境が大幅に変化し、当初の「共同研究」の取り組み方法の可否について判断が迫られている時期にあることも事実である。こうした理由から、本研究は平成10年度より重点的に取り組むこととしたものである。
本年度は、まずはじめに、昨年度同様これまで取り組んできた「共同研究」の中からその後の現地の取り組みが目覚ましいもの、あるいは協力研究員にとって印象深いもの等をピックアップし、追跡調査を実施した。なお、このほかに「共同研究」以外の先進事例として、富良野市、士幌町、北竜町の実態についても調査している。続いて、これらの実態調査を踏まえ、これまでの取り組みを総括し、その上で冒頭に述べた今後の「共同研究」のあり方や方向性について検討した。
なお、これらの研究成果については、平成12年6月を目途に取りまとめ、印刷物として公表する予定となっている。
WTO体制のもとで、農協は、事業の伸び悩み、バブル崩壊による信用部門の収益変化と農協経営の悪化に伴う不良債権の増加、さらに組合員の多様化と一部上層農家及び中堅農家の「農協離れ」による系統利用率定価の問題が顕在化する等、危機的状況を迎えている。また、農協合併に伴う事業の展開も大きな論点となっている。こうした課題に対し、農協の事業内容と経営構造のあり方を視点とし、つぶさに調査分析することによって、農協の対応方向、ひいては在るべき姿を検討するため「農協問題研究会」を組織した。
昨年度は、稲作、畑作、酪農の地域別に各指標を用い、農協経営、事業構造の統計分析を行った、また、現在農協の抱える諸問題に対し、主体的・積極的に対応している農協をいくつか抽出し、事例的に調査を実施した。今年度は5回の研究会を開催し、昨年度の統計分析及び各種経営指標に基づき、調査対象農協として、稲作、畑作、酪農、野菜・他の地帯区分ごとに北海道内の優良農協を選定した。これをもとに事業の収益性と経営構造について、すなわち信用・共済事業の収益性や、購買、販売事業の経営構造、営農指導事業も含めた各事業の関連について調査を実施した。来年度は、今年度の調査結果を分析し、これまでの研究成果を総括して北海道における農協問題の特徴を析出するとともに、研究の目的に沿い、事業構造を中心とする農協経営対応について、提言も含めた取りまとめを行う予定である。
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