本道農業は、農産物価格政策の大幅な見直し、後継者の未定着、農業従事者の高齢化、離農の多発、農村人口の減少、耕地面積の減少等といった営農・生活両面にわたる急速な環境の変化に直面している。また、JAや自治体は、広域化並びに事業の合理化が進められ、多様性を増す農家の意向に対応することが困難になりつつある。そのため、地区内の農家をはじめとした農業経営が互いに創意工夫をこらし、それらが部門編成や資源配置を弾力的に組み替えて、自律的かつ柔軟に営農条件を整えていく仕組みの構築が求められている。
本研究では、このような多様な農業経営が連携し、相互に協調的な行動をとることによって農業経営が主体的に行動しながら営農条件を創出していく仕組みを「地域マネジメントシステム」と定義づけた。そして、急速な環境変化にも対応できる「地域マネジメントシステム」の構築条件並びにその望ましいあり方について検討した。
なお、本研究の成果は公表する予定であり、現在編集作業を進めている。
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現在進められているWTO交渉では、農業保護政策の縮小や価格政策からの転換が求められている。そのもとで、食料・農業・農村基本法に基づき平成17年3月に新たな食料・農業・農村基本計画が閣議決定された。これを受けて、農林水産省は10月に「経営所得安定対策等大綱」を制定した。ここでは、3つの柱として「品目横断的経営安定対策」と「米政策改革推進対策」及び「農地・水・環境保全向上対策」が掲げられている。
品目横断的政策への転換により北海道農業が大きな影響を受ける可能性があることから、北海道の農業・農村を健全に維持・発展させるため、現下の農業・農村の実態に基づき施策の方向性の検証が緊急の課題となった。そこで、平成16年度から北海道農業・農村基本対策研究会を組織、WTO新ラウンド下における北海道農業・農村の基本対策を検討することとした。これまでは特に畑作を中心に、代表的な地域の実態を踏まえ、経営安定対策を中心とする政策転換の影響と求める方向性の検討を行った。
17年度は、16年度の検討を総括するとともに、稲作地帯を視野に入れ、新たな「食料・農業・農村基本計画」と「経営所得安定対策等大綱」を踏まえ、品目横断的安定対策を中心に検討した。また、これらの影響が懸念される稲作地帯の現状と対応方向について、現地関係者の参画も得て、研究会を開催した。
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