北海道農業は、農業基本法の施行以降、大規模化を成し遂げ、それゆえに「基本法農政の優等生」「構造政策の優等生」等と呼ばれている。しかし、その後、農産物の輸入自由化、それに伴う農産物価格の下落の影響を受け、農業産出額、農業従事者数、農家数、耕地面積が減少する等、今や危機に直面しつつあるといっても過言ではない。また、農村部においては、過疎化、集落機能の低下が以前にもまして進行しており、消滅が危惧されている地域があるともいわれている。
一方で1990年代以降、こうした危機からの脱却を目指し、様々な対応策を模索する市町村やJAが散見されるようになってきた。換言すれば、労働力支援組織、離農防止・集落機能維持に関わる組織、農地受け皿法人、農地保有合理化法人、新規就農・参入支援に関わる組織等といった多様な主体を構築し、これらの主体が有する機能を活用して地域農業ひいては地域を何とか維持・発展させようと努める市町村やJAが登場してきたということである。
本調査研究では、こうした地域農業の維持に関わる様々な主体の統一体を地域農業支援システムと定義づけ、その実態把握並びに類型化を行い、地域及び地域農業の発展方向について検討している。その成果については、地域農業研究叢書として取りまとめ、近日中に公表する予定である。
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北海道の農業史については、昭和35年まで「北海道農業発達史」(昭和38年、北海道立総合経済研究所編)で整理されているが、それ以降の歴史を編纂したものについては存在しない。そこで、その続編の編纂を自主研究として進めている。
編纂イメージは、「全体総論」並びに「品目分野別(総論、各論)」の構成とし、平成21年度春に、執筆を担当する分野別専門の内外の研究者を構成員とする「北海道農業ベクトル研究会」を設置し、これまで25回(平成23年2月末現在)の研究会を開催する等、精力的に研究を進めている。
なお、本研究の成果は平成23事業年度内を目処に研究叢書としての発刊を目指している。
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