北海道農業の振興に係わる諸問題について研究する実践的研究機関、北海道地域農業研究所公式Webサイト

電話番号 011-757-0022

一般社団法人 北海道地域農業研究所

011-757-0022に電話をかける

自主研究

一般社団法人 北海道地域農業研究所 > 調査研究  > 目次 > 平成24年度(2012年度)

平成24年度(2012年度)

(1) 「北海道農業の軌跡にみる発展へのベクトル研究」

概要

 北海道の農業史については、昭和35年まで「北海道農業発達史」(昭和38年、北海道立総合経済研究所編)で整理されているが、それ以降の歴史を総合的に編纂したものについては存在していないことから、その続編の編纂・執筆を進めてきた。
 執筆については、担当する専門分野の内外の研究者を構成員とする「北海道ベクトル研究会」を平成21年1月に設置し、これまで研究会議を37回、編集委員会を5回開催する等、足掛け4年にわたる精力的な調査・研究の結果、平成25年3月に「新北海道農業発達史」が完成した。
 本書の編纂構成は各作目分野(稲作、畑作、園芸作、酪農、肉用牛、養豚、馬産)であり、分野ごとに昭和36年の農業基本法制定以降の北海道農業の展開の軌跡を論述し、その間の北海道農業の発展のベクトルを検証している。TPP交渉等、先行き不透明な情勢の中、今後の本道農業の方向性や食料供給に果たす本道農業の役割の可能性を示唆する内容となっている。

報告書等
カテゴリ
その他出版物
書誌名
新北海道農業発達史
管理番号
***-***
委託者
執筆者
太田原 高昭、柴田 浩一郎、黒河 功、長尾 正克、由田 宏一、小林 国之、藤田 直聡
発行
2013.03
キーワード
北海道、全般
備考

(2) 「本道農業における人・農地問題」

概要

 道内の多くの地域で農家継承・担い手の確保問題と、農地の流動化の問題が発生している。全道の総農家戸数が5万戸を下回る状況にあって、この問題は、全道平均的に広く存在しているのではなく、地域によってかなりの温度差を生じながらも、農家の急激な高齢化と世代交代の時期を迎えつつある。一例を挙げれば、総じて高齢化が進行し、後継者が少ない(農地の出し手が多く、引き受け手が少ない)空知や上川・道南(渡島・檜山)の稲作地帯がある一方で、後継者が比較的確保されていて、農地の出し手の少ない十勝や北見の平坦部等とでは大きく様相を異にする。
 人と農地の問題は、農家継承や農地の流動化による規模拡大を基調の問題としながらも、作物選択や営農技術、農機の開発等のさまざまな課題が内包されている。そして、この問題は、家族労働・家族経営に支えられながらも、法人経営や第三者継承による新しい経営形態の展開も見られる。
 傍らでは、TPP問題が国内を二分する議論となっているが、新たな農業政策では、このことを意識したともとれる「人・農地プラン」や「六次産業化」等が示された。しかしながら、これら政策が果たして本道農業にとって使い勝手が良いものであるかどうかは、今後、検討を要するところでもある。
 したがって、本道農業の持続的な発展の観点から、政策提言の糧となるよう、これらの状況をも視座に置いた研究が必要である。本研究課題については、本年度、本道の中山間地域の代表といえる道南地域を対象に調査研究を進め、担い手への農地集積や輪作体系の確立、農作業支援組織の活動状況を整理し、「北海道大学農経論叢(第68集)」へ論文投稿を行った。今後、順次研究対象となる地域を拡大する予定にある。

報告書等

※ 未登録

(3) 「系統農協組織改革と経済連の対応」 

概要

 農協法が制定されてから65年が経過し、系統農協組織は戦後の日本農業の発展に大きな役割を果たしてきた。一方、1980年代には政財界を中心として、農協組織のあり方に対する批判は厳しさを増し、総務庁による農協に対する行政監察が実施され、昭和63年には『農協の現状』が発表された。こうした状況の中、系統内部でも系統組織のあり方が論議され、全中が平成3年に開催した全国農協大会では「事業2段、組織2段」による系統組織の再編が決定された。これを受け、都道府県の連合会を全国段階に統合する再編が推し進められ、経済事業において35経済連が全農に統合されたが、統合を選択しなかった経済連は8県あり、残りの4県については県内1農協に合併し組織2段とした。
 本自主研究は、こうした組織再編を経て、新たに生まれた組織における経済事業がどのように変化してきたかを明らかにし、今後の経済事業の進むべき方向を考察しようとするものである。今年度は既に静岡、鹿児島、熊本、愛知の4経済連と全農長野県本部の聞き取り調査を終え調査結果を取りまとめた。経済連存置の組織決定の経過や県連存置決定後の経済事業の変遷やその実績点検、全農利用率の変化等について4経済連に共通する点、異なる点を整理中である。また、全農統合した長野県の経済事業の状況も精査中である。

報告書等

※ 未登録

(4) 「TPPが本道農業に及ぼす影響とその測定」

概要

 TPPを受け入れることによる国内農業に及ぼす影響については、既に公的機関から金額や数量ベースでの試算が公表されているところであるが、これらを基礎に置きながら新たな計量分析が可能かも含めて、北海道農業と関連産業に及ぼす影響についてシミュレートする。
 その測定の手法の一つとしては、韓国はアメリカとのFTA交渉の批准を終え、本年3月から発効している、このことによって、韓国国内の自国農畜産物への影響を目の当たりにし、また韓国の農業並びに関連産業への政策のあり方も研究に資すると考えられる。これらの状況を踏まえ、わが国の主食である米に加えて、本道農業の基幹である小麦やビート等の畑作品目や酪農についての検証を行い、影響度合いの測定や政策のあり方について研究を行う。
 TPPは本道農業に多大な負の影響を与えることが予測されるが、一方で世界の爆発的な人口増による食糧不足や資源確保を視野に入れた場合には、本道農畜産物の将来的な販売先としての輸出や、バイオや技術革新の可能性についても視野に入れた研究が必要と考えられる。
 具体的な調査研究については、内容を再度検討の上、実施する。

報告書等

※ 未登録

調査研究

  • 理事長ご挨拶
  • 蔵書&文献
  • 北海道農業データベース
  • 会員加入のご案内
  • リンク集
  • 所長の研究室