本研究では、北海道大学・坂爪教授を研究リーダーとし、酪農学園大学・小池教授、北海道大学・清水池講師、名寄市立大学・今野講師を中心として、実務者も加えながら、地産地消や地産地商に向けた農協・産地の対応や新技術の導入、食の簡便化志向に対応する形での加工用・業務用需要に向けた取り組み、農業生産を基本にしつつ持続的に展開している六次産業化の先進事例の実態、インターネットを利用した農産物販売等、六次産業化に留まらず、農商工連携や農産物・食料市場に起きつつあるニューウェーブや新たな取り組みのシーズについて、幅広く調査・研究を進めていく。
なお本研究は、次年度以降から本格的にスタートし、2~3年後の取りまとめを目指す。
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本研究の目的は、第1に北海道の農村開発に対応した農村の生活様式を生活史として明らかにすること、第2に、そのなかで様々に展開を見せてきた農協の生活関連事業の成果(生活インフラの蓄積)を「運動」の側面にも注意を払いながら明らかにすることである。
北海道における生活インフラの整備は、農業開発に付随する形で進められてきた。行政を主導役として大掛かりな産業インフラが整備される一方で、生活に関わるインフラについてはJAや行政の担当部署によって整備されてきた経緯がある。農村生活の向上を目的に、食生活、保健衛生、社会教育、金融・共済等、実に多岐にわたる分野におけるインフラの整備が担当者の奮闘の下に進められてきたのである。
本研究では、それらを主導した主体の中でも、特にJA、生活改良普及員、開拓保健婦、社会教育委員会に注目し、組織及びそこに属する人々がどのような現実的課題に直面し、解決に向けてどのような取組を行ってきたのかを追っていく。初年度となる平成29年度は、計4回の研究班会議を開催し、各担当者からの調査経過報告を研究班で共有した。
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本研究では、JAグループ北海道の行う様々な正・准組合員へのアンケートと補完調査を通じて、准組合員の実態把握を試みる。加えて、准組合員に対して積極的な取り組みを行っている農協に関する補完調査を実施し、今後の准組合員に対する対応方向のあり方について提言を行う。
本年度は、JAいわみざわ・JAさっぽろ・JA新はこだて・JA函館市亀田・JAふらのでの聞き取り調査並びにJA北海道中央会が実施した組合員調査の結果分析を行った。今後もJAへの聞き取り調査を行い、平成30年10月までの取りまとめを目指す。
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「生消提携・連携」、「産地直結」などと言われて久しいが、JA・連合会などをはじめ、各種農業団体や生産者グループも消費者とのさまざまな交流事業を展開してきた。しかしながら様々な交流事業も必ずしも順調にいっているわけではなく、「生」による「消」の一方的で招待的な内容になり、「生」にはもっぱら疲労感・徒労感が蓄積するものになっているような事例も見受けられる。今後のさらなる交流事業の発展・深化を展望していくためには、これまでさまざまに展開されてきた交流事業を総括し、新たな時代の方向性を検討することが重要である。
このため、本研究では、道内における農業や食料に関わる消費者交流事業の特徴・課題を体系的に分類整理するとともに、典型的な事例について、生産者・消費者両面から調査・検証を行うことにより、今後の交流事業の方向性(交流事業を継続する条件等)を展望する。本年度は研究班を立ち上げ、当面は研究班メンバーからの話題提供を重ね、論点を絞り込んでいくこととした。
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雇用労働力の給源が逼迫する中での農業経営の経営対応を明らかにするために、今年度はE町の酪農法人経営及びF農協管内の畑作経営、施設経営に対し、聞き取り調査を実施した。
法人酪農経営においては、一年を通じての作業であるため、常時雇用者としての労働力確保が行いやすい傾向にあるが、1)牧場の所在地や近隣での確保が困難になっている現在、日本全国が、その労働力の供給源となりつつある。加えて、2)法人経営の持続性を図るためにも、雇用者の長期間勤務を実現させる環境づくりを目指す必要があることが分かった。さらには、3)酪農ヘルパーによる従業員の休日の確保やコントラクター組織等への作業委託、育成牧場への預託等のように、作業支援組織を活用しながら労働力不足に対応している現状も明らかになった。
また、畑作経営や施設経営においては、1)経営主及び家族労働力、2)コントラクターへの作業委託、3)雇用労働力、といった労働主体を組み合わせており、雇用労働力の給源の脆弱化が、経営展開の大きな制約要因になる可能性があることが分かった。
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