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令和2年度(2020年度)

(1) 六次産業化・農商工連携の展開と農畜産物・食料市場のニューウェーブ

概要

 本研究では、近年の農畜産物流通における新たな動向をニューウェーブと包括的に捉え、北海道内外の先進事例を収集・分析する。
 本年度は、最終年度であった。COVID-19の感染拡大により、研究会の見通しがなかなか立てられず、後半になってから研究班会議をオンラインで2回、対面で1回の計3回、開催した。北海道を拠点とし、地産地消延長型マーケティングを実践されているパン製造業者、小売マーケティング業者よりご報告頂き、情報共有を行った。
 六次産業化・農商工連携の展開と農畜産物・食料市場のニューウェーブは、北海道内外の先進事例を収集・分析を通じ、産地を支える地元消費が基盤となることを明らかにし、地産地消延長型マーケティングの重要性を報告書にとりまとめた。 

報告書等
カテゴリ
報告書
書誌名
六次産業化・農商工連携の展開と農畜産物・食料市場のニューウェーブに関する研究報告書/2018-2020年度 自主研究
管理番号
698-472
委託者
執筆者
坂爪 浩史、小池 晴伴、今野 聖士、清水池 義治、佐久間 良博、小路 健男、山際 睦子、末永 千絵、川辺 亮、脇谷 祐子
発行
2021.03
キーワード
北海道
備考
PDF公開あり(無制限)

(2) 消費者交流事業の展開とその効果に関する調査研究

概要

 道内でさまざまに取り組まれている消費者交流事業の特徴を把握するため、事業を実施主体によって分類整理し、生産者が取り組む事例として「多田農園」、農業関連団体が取り組む事例として「ホクレンくるるの杜」と「農協観光」、流通企業・団体が取り組む事例として「コープさっぽろ」、消費者・団体が取り組む事例として「オフィスアン」と「いただきますカンパニー」について聞き取り調査を行った。
 多田農園は、ニンジンジュースやワインなど原料作物の栽培と加工・販売、ファームイン、農業体験の受け入れなどを行っている。「かみふらの教育ファーム推進協議会」の設立や、障がい者の雇用支援によるソーシャルファームとしての活動に力を入れている。  
 ホクレンくるるの杜は、体験農場や農畜産物調理・加工体験施設、農畜産物直売所やレストランなどに消費者を迎え入れ、さまざまな体験の場を提供している。生産者にも農産物直売所などにおける対面販売や加工体験の講師を依頼するなど、相互交流の深化に貢献している。
 農協観光は、農業体験バスツアーである「食と農を結ぶ農感塾」を行い、札幌など都市部の消費者に農業生産者の頑張りや地場作物のおいしさを実感し、北海道農業への理解と関心を高めてもらっている。個人や少人数のグループに対応した「農感塾マイカープラン」など新たなプログラムにも取り組んでいる。
 コープさっぽろは、消費者目線で道内の優れた第1次産業の生産者を応援する「コープさっぽろ農業賞」を起点として、「ご近所野菜」など多様な農産物の取り扱いや受賞者の生産物を味わう「畑でレストラン」、食育イベント「食べる・たいせつフェスティバル」の開催など、多様な交流事業を展開している。
 オフィスアンは、消費者に有機農産物の情報発信と販売を行う「アンの店」(札幌市)の営業や、消費者が生産地で農作業体験などをする交流事業を行っている。現代表は本格的に農業に関わりたいというニーズに対応するため、実家のある三笠市に新たな交流拠点を整備している。
 いただきますカンパニーは、畑ガイドが農場を案内し、そこで生産されたものをおやつやランチとして食べる「農場ピクニック」を行い、十勝の広大な風景や食の魅力を多くの人に伝えている。専門の畑ガイドを養成して生産者に代わって畑を案内する独自の仕組みを確立し、他地域へのコンサルティングも行っている。
 これらの事例から、生産者と消費者との交流の広がり・深まりや交流事業の新たな展開などが確認された一方で、事業の継続性・持続性の観点から、交流事業の費用や労力の負担、担い手の育成、プログラムの充実、行政や関係機関との連携等の面でいくつかの課題も明らかになった。
 本道における多様な消費者交流事業の展開は、6次産業化推進の原動力となることが期待でき、農村景観と食を楽しむグリーンツーリズムに絡めて展開することは、生産者にとって魅力ある戦略の一つと言える。また、農村地域への交流人口の増加や消費者が食と農について学ぶ「教育の場」としての機能も期待でき、農業生産者の応援団の養成につながる可能性がある。
 以上の内容に、子ども食堂の取り組み事例なども加え、令和3年3月に報告書をまとめた。

報告書等
カテゴリ
報告書
書誌名
消費者交流事業の展開とその効果に関する調査研究報告書/2017-2020年度 自主研究
管理番号
696-470
委託者
執筆者
荒川 義人、三部 英二、星野 浩美、伊藤 好一
発行
2021.03
キーワード
北海道、上川管内、空知管内、石狩管内、中富良野、北広島、三笠、札幌、全般
備考
PDF公開あり(無制限)

(3) 持続可能な農村づくりにおける結婚支援事業に関する調査研究(2年次目)

概要

 本調査研究は、地域に根付く人、農業に従事する人を確保するための有効策として結婚支援を位置付け、そこに対する行政やJAの取組みの意義を改めて考えることを目指したものである。そして、そのことを通して、結婚の当事者を含め、地域に関わる様々な方々にとってより良い結婚支援のあり方とは何かを問おうとするものである。
 2年目となる今年度は、農業専門婚活サイト「Raitai」、農業女子ネットワーク「はらぺ娘」、別海町産業後継者対策相談所、NPO法人全国地域結婚支援センター、そして、JA中春別、JA道東あさひ、JAながぬま、JAきたみらいの方々にお話を伺った。今年度明らかになった点は以下の4点である。
 1点目は、全国的な支援組織の活動をフォローすることの重要性である。農業後継者の結婚支援が全国的に注目されるきっかけとなった組織のひとつに日本青年館結婚相談所がある。相談所による都会の女性と北海道の酪農青年との間での結婚を視野に入れた交流企画が、NHK「明るい農村」(1981年)で放送され、多くの反響を呼ぶこととなった。現在は、NPO法人全国地域結婚支援センターに引き継がれている。ここでは、単なるマッチング作業ではなく、地域の活性化や若者の人格形成、男女間の平等等の理念を含む包括的な活動として農村の結婚支援が位置付けられている。このような組織の活動を注視することにより、北海道、ひいては全国の動向を把握することができる。
 2点目は、自治体間の連携による組織的な人の移動の促進である。別海町では、別海町産業後継者対策相談所を中心に、町内の酪農後継者と関西圏の未婚女性との交流会(菊と緑の会)を例年10月に3泊4日の日程で開催している。これは、大阪府枚方市より町内の酪農家に嫁いだひとりの女性が故郷の枚方市の市長を表敬訪問した際に、別海の魅力や当地での酪農家のパートナー対策の必要性を伝えたことがきっかけで開始されたものであり、開始から40年近い歴史を持つ。両市町は、1987年に友好都市宣言を締結し、現在に至るまで自治体レベルでの交流が行われている。このような自治体レベルでの人的交流を通じて、結婚やその先の定住につながる取組みが行われているのである。
 3点目は、JAながぬまの「グリーンパートナー実行委員会」(2006年設置)にみられるような、JA職員による親身な支援の形である。担当職員はJA管内のいくつかの集落を受け持ち、組合員と日常的に交流する。その交流のなかに、結婚を考える組合員(実行委員会会員)との交流が位置付けられている。
 4点目は、マッチングアプリの利用の可能性である。現在、支援の一環として、マッチングアプリの利用に関する情報提供を行っている支援組織もある。近年、「Raitai(ライタイ)」(2017年開始)や「あぐりマッチ」(2020年開始)といった農業専門の婚活サービスが登場し、利用が開始されている。特に前者は農業者自身が立ち上げた点に特徴がある。現在は、男女ともに開発者が拠点とする千葉県近郊の利用者が多いが、北海道の農業者の登録もあるという。今般のコロナ禍によって従来のような参集型のイベントの開催が難しくなったいま、マッチングアプリの利用は今後さらに検討される可能性は小さくない。

報告書等
カテゴリ
報告書
書誌名
令和2年度 持続可能な農村づくりにおける結婚支援事業の意義に関する調査研究報告書/(一社)北海道地域農業研究所自主研究事業
管理番号
699-473
委託者
執筆者
井上 淳生
発行
2021.03
キーワード
全国、北海道、空知管内、宗谷管内、オホーツク管内、根室管内、長沼、浜頓別、北見、美幌、別海
備考
PDF公開あり(無制限)

(4) 北海道地域農業研究所設立30周年記念事業 北海道農業協同組合史に関する調査研究

概要

 北海道は日本の食糧基地として独自の地位を占めており、その発展には、農協および連合会組織の強固な存在と果たしてきた役割は極めて大きいものがある。今日、日本の農協が組織・事業の改革を推進している中、北海道の経験は改めて参照されるべきであり、またアジア等における農協組織の発展のためにも北海道の農協の発展過程の整理は焦眉の課題となっている。
 そのため、当研究所の設立30周年記念事業として、複数年の期間を設け「北海道農業協同組合史」の執筆・刊行に取り組むこととし、この中で北海道における農協の組織・事業・経営の特徴を骨太に描き出すとともに、それに基づいた北海道の農協の今後の展望を提言する。
 本年度は、本書の構成として、通史編、組織・事業編、典型事例編の3編構成とする企画内容立案と執筆協力委員の編成を行い、執筆に向けた調査研究をスタートした。 

報告書等

※ 未登録

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